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   修復を終わらせるよ(ポーランドにまたフレスコを描きに行く 2015・15)
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今日も曇りで、結構肌寒い。

     6月19日(金) 作業5日目、最終日。

     今日でとうとうこのプロジェクトも最終日。
     修復はもちろん終わらせるけど、できればその周りのところに、新しいものを描きたいなあ。
     だって初日に「あれじゃあ切り取られた写真みたいだよ」って師匠に言われちゃったんだもん。まあ、ほんと、そうなんだよね。
     あの時は、考えてああしたんだし、あれで精一杯だったんだけど、今なら何か描き加えられるんだと思うんだ。
     でも何を?

     朝食の席でその話をしていたら、Sがいいヒントをくれた。
     そうだ、そうしよ~! あれならすぐにでも描ける。
     まあ、でもまずは、あの修復を終えないと。

     今日もみんなで車に分かれて現場に出発。
     誰がどの車に乗るかは、あらかじめドライバー同士で決めてるみたい。出かけるたびに毎回ドライバーから指名されるのだ。どういう基準?
     最近、私とSとAはいつも一緒の車。
     そしてなぜかこの3人が一緒になると、もうつまらない些細なことでもおかしくて、そこからまた冗談が次々と出てきて、ゲラゲラ、ゲラゲラ、
     お腹を抱えて笑い通しになる。疲れすぎてナチュラル・ハイ?
     すごく楽しい組み合わせ。

     そうそう、このフレスコの現場近くのおうちで、なんとラクダを飼ってるんだって!
     毎朝通るたびにみんなで目を凝らして、何回かは見られたよ。
     こんな寒いところで、ラクダは元気にしていられるのかなあ。


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     さて、今日はさっさと修復を終わらせないとね。
     だから朝いちばんで職人さんのところに飛んで行き、すぐに漆喰を塗ってもらいます。
     ・・・ってジェスチャーで頼んで、待ち時間をまたぶらぶらしてたら、職人さんがやってきた。
     何か聞いてるんだけど、私にはわからない。
     すると、今度は通訳Rを連れてきた。。

     「これ、両方いっぺんに塗っちゃっていいの?って聞いてるよ」
     ああ、そうか!午前中のジョルナータの予定を聞いてくれてるんだね。今までいつも、1度に1か所だけ塗ってもらってたものね。
     「うん、大丈夫。両方一緒にお願いします~」

     ってやってたら、師匠が様子を見に来たよ。
     「ありゃ、(古い漆喰を)顔のところも削っちゃったのか。そういう細かい形だと、ここの職人たちはうまく塗れないよ」という。
     (ふふふ、大丈夫なんですよ、この人なら)って思っているうちに、職人さんが顔を塗り終わる。

     「うわ~。すばらしいね。こんなにいい仕事、ここで見たことがないよ!!」
     師匠もすごくびっくりしてる。
     この職人さん、本当に上手で丁寧。フレスコ画がどういう手順で進めていくかもわかってくれているから、こちらもすごく安心できる。
     今回は自分で漆喰を塗らず、お任せして本当によかったな。

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ここの足場はこんなにコンパクト。

     新しく漆喰を塗った部分は、昨日まで描いていた壁と同じ要領。
     4年前のことをちょっと思い出しながら、楽しく再び描いていきます。

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     今日もおばちゃんたちが、ヨーグルトを持ってきてくれたよ。絵の具を入れてる容器と間違えないように気をつけなくちゃ。


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     新たに漆喰を塗らないで上から色を重ねていく部分は、汚れの色をカバーするために、まず水に石灰を多めに溶いた上澄みのラッテ・ディ・
     カルチョ(latte di calcio 直訳で石灰のミルク)で下地作り。
     こうすれば、透明感のあるフレスコ画の技法でも、下の汚れの色が目立ちません。

     この上から新たに、今度はラッテ・ディ・カルチョよりも石灰を少なめに溶いた上澄みのアックア・ディ・カルチョ(acqua di calcio 直
     訳で石灰の水)に顔料を溶いて絵を描いていきます。
     こうやって、すでに乾いた絵の上から描くときは、新しい顔料を包み込んで定着させるために、通常のフレスコ画の原理である湿った漆喰
     中の石灰の定着剤の代わりに、顔料を直に溶く水の中の石灰を使うわけです。


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     さあ、そんなことをしていたら、いつの間にかお昼ご飯の時間。
     今日のメニューは、野菜いっぱい具沢山スープと、ミラネーゼみたいなカツレツに茹でたジャガイモとサラダの付け合わせ。

     珍しく側に座った師匠が「イタリアでは”どんなものでもミネストラに”っていうけど、ポーランドは”どんなものでもスープに”だね」って
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     ふふふ、イタリア人の師匠らしい。
     私には、ミネストラもスープもそんなに違いがないように思えるんだけど・・・。でも考えてみたら、イタリア語にもスープに当たるズッパ
     (zuppa)っていう言葉がある。
     調べてみたらミネストラは、お米や麦、小さなパスタなどを入れたスープのことなんだって。ちなみにミネストローネは、野菜などがたっぷり入って、小
      さいパスタやお米なども一緒になったスープ。
今まであんまり考えないで2つの言葉を使ってたなあ。

     私が(似たようなものだと)何も考えないで食べていたスープでも、イタリア人の師匠には、これはスープ、あれはミネストラって、当たり
     前に全く違うものなんだ。面白いね。
     日本人にとっての、けんちん汁と豚汁の関係って感じかなあ。あ、でも、けんちん汁は味噌味じゃないか。何かあるかな?日本食でこの関係に似たもの。


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     お昼ご飯で満たされたお腹を抱え、落ち着いて最後のチェック。

     顔がね、なんだか前と違う・・・。今回はカルトーネを作らなかったからね。表情がなんとなく違うのだ。
     でもまあ、これは2015年版の表情ってことで。適当すぎ? でも今回もちゃんと表情のことは考えたよ。今の気持ちが表情にも反映するのかも。
     よし、これでいいかな。

     う~んそれにしても、稚拙な絵だなあ。もうちょっとなんとかできなかったのかしらん。
     ああもできる。こうもできる。いろんなアイディアが浮かんでくる。
     だけどあの時は、あの時なりの自分の精一杯を描いたんだよね。
     今こう思うのは、この4年で自分が成長したからだと思おう。これは4年前の私の記念品。


     ほんとはこの周りに新たに描き足して、昔の私と今の私の合作をつくりたかったんだけど・・・でも今日はどうやら時間切れ。
     お昼過ぎ。今日はもう店じまいにしないといけないみたい。
     残念。
     もう一度、ここに来られたら描き足したいなあ。

     この4年続けられてきたこのプロジェクトは、今年で最後だそう。でも、個人的にまたここに来て、さらに描き足せるようにできたらいい。ね。

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by sakanatowani | 2015-11-29 11:48 | フレスコ画 affresco
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