![]() 6月17日(水) 作業3日目。 朝、昨日描いた壁の前に立って眺めてみる。 ・・・やだ。なんか変・・・。気にいらな~い。気に入らないよ~! 黄土色と青の境目、なんでもっと左にしなかったんだろう。 画面の真ん中からぱつって分かれてるみたいじゃない? こんなのやだ~。なんで昨日、気がつかなかったんだろう。 う~ん・・・ ・・・でもさ、もう描き直せない。フレスコ画は、修正がきかないんだよね。 ・・・じゃあ・・・しょうがないか! そうだよね。描いちゃったものはしょうがない。 描いちゃったものはしょうがないんだからさ。今日の分をよく描くしかないよね! ・・・な〜んて、しばし壁の前でひとりぶつぶつ言いながら、「よし!」と気合いを入れる。 今日は下半分の左部分を描く予定。絵のメイン部分でもあるし、面積的にも大きいから頑張ろう! そうやって、気に入らない部分でがっくりした気持ちを入れ替えていたら、背後からCにアドバイスする師匠の声が聞こえてきた。 「ほら、さかなが言ってるように『描いちゃったものはしょうがない』んだから、先に進みなさい。あとから描くもので、新たな 全体のバランスも見つけられるかもしれないし」 うはは、ありゃ、独り言、聞かれてた ![]() 今日もゼスチャーたっぷりポーランド語会話で漆喰塗りを予約して、職人さんが来たら、今日塗ってもらう部分を指示します。 ふふふ。彼らも、私のこのジェスチャー会話に慣れてくれてる。 こんなふうでもコミュニケーションが取れるのは嬉しいなあ。 ![]() 塗ってもらっている間にまたぶらぶらしていると、師匠が、修復すべき私の以前の絵を削ってくれてる。 近づいて、修復の仕方を教えてもらう。 ふむふむ、やり方は2つ。汚れの度合いによって、やり方を変えるんだ。なるほど〜。 説明を受けて、明日から修復作業を始めることを伝えます。 そんなことしていたら、オーナーSが「ジンドブレ~(こんにちは)♪ 「さかな、君に見せたいものがあるんだよ~♪ 師匠、あなたも一緒に!」 いきなり私の手をとって、ルン♪ルン♪とパン焼き小屋の方に歩き出す。 「どうしてこの人たちは、こうもいろんなことをやりたがるのかなあ。作業が途切れちゃう。フレスコ画っていうのは、食事だって、 抜きか壁の前でパニーノだけってものなんだよ・・・」 小声でぼやきながら、しぶしぶ私たちの後を歩く師匠。 この人は、本当に作業だけに没頭したい人なんだなあ。 こんな人、仕事中はおしゃべりばかりっていう人も多いイタリアでは会ったことないなあ。 そんなことを思いながら、ちょうど待ち時間だった私は、ちゃっかりいそいそとオーナーに手を引かれて歩き出す。 ![]() 「ほらほら、ここに寝るとあったかいんだよ~」とはしゃぐオーナー。一方、師匠は・・・(笑) パン焼き釜には、今朝もう一度火がくべられて、そのまわりでおばちゃんたちが忙しそうにしています。 オーナーは嬉しそうに、パン焼き釜のこと説明してるんだけどねえ。師匠はそれを上の空で「ふんふん」と聞きながら、今朝のみん なの作業進行状況を手帳に記入するのに没頭してる。 でもね、時々オーナーがこちらを向いて話しかけると、ささっとそっちを向いて、さもちゃんと聞いていたかのように返事をしたり、 さも話に興味があるかのように、ちょっとした質問なんかもしちゃうんだよ。でも相手の答えなんて聞いてないんだけどね(笑) こういうとこ、やっぱりイタリア人らしい~ このあともこういう師匠の言動を通して、私が10数年住んでいても今一歩つかめなくていつも困った、日本人とはちょっと違う イタリア人の考え方や物事の対処の仕方を、改めてへぇ~とかほぉ~とかおもしろく思うことになるのです。 ![]() パンがお釜に入りま~す。 全粒粉が半分の生地を自然酵母でゆっくりゆっくり発酵させて膨らんだパン。お昼が楽しみ~♡ ![]() 壁の前に戻ると、まだ漆喰を塗ってるところ。 今日の範囲は広いからなあ。 それにしてもこの人、本当に仕事がていねいだ。仕上がりの表面もすごく滑らかだし、フレスコ画用の塗り方をよく知ってるんだね。 いい仕事を見ると、こっちもどんどんやる気がわいてくる~。 ![]() 漆喰塗りが終わるのを待ちながら、右の方でやっている、師匠とそれを手伝うFrとCの様子をながめます。 そういえば、師匠が描くところを見るのは初めてだなあ。 師匠の説明を聞きながら、どうやって描いてるのか、筆はどういうものを使ってるのか、どういうところを注意するのか。ひとこと ひと言を聞き漏らさないように。テクニックを盗むいい機会。スパイ、スパイ 一緒に描いたらすごい勉強になるだろうなあ。 師匠は(たぶん普段は使うけど、今回は)ほとんどカルトーネも使わない。 壁を見ながら、描くものを決めて、細かい色などをFrやCに指示していく。 「描くものは、壁が教えてくれるんだよ。だから壁と対話しなくちゃいけないんだ」 師匠がフレスコ画のことを話す時は、いつも表現がとても詩的でロマンチック。 私はそれが、腑に落ちたような、よくわからないような・・・でも彼が言うことを、受け身でただ頭に刻んでいく。 少しずつ、少しずつ、見ていてこちらが楽しくなる画面ができていきます。 ![]() 彼らが描いているのを見ていたら、突然ふっと、目の前の霧が晴れたよう。 そうか~。フレスコ画だって、いつもの絵のように描けばいいんだ。 今はただ楽しんで描けばいいんだな。 さっきまでの迷いがあとかたもなく消えました。
by sakanatowani
| 2015-11-17 09:24
| フレスコ画 affresco
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