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   空間の心地よさ - デュッセルドルフの美術館2(後)
     前回の続き。デュッセルドルフの近現代美術館のひとつK21

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Charlotte Posenensko

     これは吹き抜けの廊下側の壁に展示されていた凸面と凹面が組み合わさった作品。
     ちらっと見て、こういう幾何学的な固まりを創りたい人もいるんだよねえ、なんて生意気なことを考えながら
     (←幾何学的な形にまったく興味がない人)、ふ~んと、その前を通り過ぎようとした時・・・あれ?!

     私が動くとともに、この作品の影と光の表情が変わるのです。
     とまっているオブジェなのに、なんだか動きがあるみたい。
     そうですよね。考えたら当たり前。
     表面が凸面と凹面でできているのだから、視線の位置が変わればその影の見え方が変わり、作品の表情が変わります。

     なるほど~。この作品は、こういう風にも観られるのか~。
     へ~、おもしろい~。
     そう思いながら、顔を作品の方に向けたまま、前に行ったり後ろに戻ったり。

     そんなことをしていたら、私を見ていた人がいたんですね。
     その廊下のそばの部屋の監視員の女性が、廊下の突き当たりの部屋の監視員の男性に、何やらドイツ語で
     笑いながら話しかけました。
     しかも前に行ったり後ろに戻ったりの私のジェスチャーつきで。
     きゃ~、恥ずかし~!

     私がその男性監視員の部屋の方へ近づいていったときその人が、笑いながら私に話しかけてきました。ドイツ語で。
     「残念ながら、ドイツ語はわかりません」と英語で言ったら、彼はう~んとちょっと上を向いて、それから彼の
     持ち場の部屋に私を導きながら、その部屋の作品の説明を英語でしてくれようとしました。が、彼は英語が
     ほとんどできないようで・・・
     結局、ジェスチャーで「ゆっくり観てね」というようなことを言って、廊下にまた戻っていきました。

     ああ、残念。ドイツ語ができたら、ちょっと楽しい話ができて、この部屋の作品についての説明も聞けたのに・・・。
     言葉がわからない国を旅するのも楽しいけど、こういう時はつくづく、言葉がわかったらなあと思います。

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Rosemarie Trockel

     この部屋の気持ちいいこと!
     もちろん作品が、私の好みであることもあるのだけれど、真っ白い壁に、ぽつんぽつんと作品があって、
     それを観るときに、目のはじに窓からの光と緑が見えるのです。
     視界に入る作品のまわりの空間の広さ、明るさ、自然が、とてもとても気持ちがよくって、気持ちが休まる
     空間になっています。
     
     考えてみたら、K20も気持ちが休まる空間が続く美術館でした。そしてここも。
     ぎゅうぎゅうに作品があるのではなく、気持ちよく心休まる空間を歩いて行くと、いい作品に出会う。そんな印象。
     そういう美術館のつくりも、私の好みに合ったから、いろんな作品を十分に楽しめるんだろうな。

     それでもやはり、生理的に受けつけない作品もあるんですよね。
     不安にさせる音を出すもの、いかにも古そうな扉を入ると、中は真っ暗、個人の生物実験室のような不気味なものが
     机の上に山のように散らかっていて、前を通ると音が・・・そういうな作品はやっぱり苦手です。
     ここでもそういう作品の前は走るように(笑)

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Barnett Newman "Zim Zum II"

     この建物の天井は、三角に細かくしきられたガラス張り。そこにいるのがこの巨人たち。
     こんなに近くで観られるんですよ~。囲いの綱なんかもないんです。

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     この日は雨降り。
     天井のどこかからの雨漏りも、なんだかここで見ると、向こうの巨人とのインスタレーションの一部みたい。

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     ここに「壊れた階段」のはじっこがありましたよ。
     こんなふうになってるんだ~。

     ここで、この作品を一心にスケッチしている人を見ました。
     本当にこの作品が好きなんでしょうね。
     こんなふうに描きたくなる作品に出会えるなんて、すごく素敵だなあ。

     この人は、その後、私がまたゆっくりと各階の好きな場所を観ながら1階まで下っていった時、
     今度はそこからこの作品を下から見上げながらスケッチしていました。

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     最初は「好きになれるかなあ」と思っていた現代美術館だけど、見終わってみたら、新しい見方を知ることができた、
     とても興味深い場所になりました。
     最後に、この美術館の重い重いドアの前で記念写真。

     ここのドア、高さが3mぐらいあるものすごい重いもので、実は入るとき、ひとりで開けられなかったのですよ。
     いちばん力が入るようにドアに斜めに身体を当てて、自分の全体重をかけて、う~ん、う~んとドアと格闘してた時、
     たまたま後ろから来たカップルの大きな男性が、私の頭の上からドアを押して開けてくれたんです。
     大きな人が多いドイツでは、ドアを始めいろいろなものが、ものすごく力を入れないと機能しない(汗)

     今度ここに行く機会がある人は、ドアにはくれぐれも気をつけて!
     私はドアと格闘してる時、危うくつま先をつぶすところでしたよ~。
     でも内容は保証付き。楽しんでくださいね♪

    
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by sakanatowani | 2012-11-25 02:32 | アート art | Comments(6)
   空間の心地よさ - デュッセルドルフの美術館2(前)  
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ドングリの葉っぱももうすっかり落ちて。よく見ると葉っぱの形がかわいいの♪

     今朝、新しいでも賞味期限はずっと前・・・ああ緑茶の袋を開けたら・・・ふわ〜。
     緑茶のいい香りに、思わず身体が磁石に吸い付けられるように近づいて、くんくんくん・・・(笑)
     気持ちがすうっと穏やかに休まる香りです。
     心身ともに疲れきってしまっているこの数週間。 
     今日は大好きな美術のこと。デュッセルドルフの美術館の続きでも書いて、気持ちだけでも好きな世界へ行きましょうか。

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あとから知ったのですが、このチケットでK20の中にある喫茶店で割引があるようですよ

     デュッセルドルフの近現代美術館のひとつK20に行った時、もうひとつの分館、K21にも行けるコンビチケットを
     買っておきました。
     「どっちから観に行こうかな〜」と思っていたら妹が、「前に(息子の)学校の行事でK21に行ったんだけど、
     壊れた階段とかあって、よくわかんなかった」と。
     ということは、K21は現代美術、インスタレーションが集められてるのかな。
     それぞれの美術館の数字は、20は20世紀、21は21世紀を意味しているってことなのかな。

     というわけで、まずはわかりやすそうなK20に行ったのですが、さてK21。
     実は私はインスタレーションがよくわからない。
     美術館などで観るのだから、アートなんだろうなとは思うけど、どうしてこういうものをつくりたかったんだろう、
     何を言いたかったのかなというところが今一歩わからない。
     そんなわけで、まったく趣味があわないかもしれないけど、この日はとにかく行ってみようと思った次第。
     ふふふ。どんなことを感じるのやら。


     街の中心に突然に現れる緑の中にあるK21。
     受付でチケットを見せ、写真撮影許可のシールをここでもリクエスト。
     吹き抜けになっている建物の中心の方へ歩いて行ってみると・・・
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Monika Sosnowska "The staircase" (2010)

     ありました。ありました。
     これが妹が言っていた「壊れた階段」だね(笑)
     わかる、わからないは別として、私は嫌いではないなあ、と思いながら、さて、美術館をまわってみましょう。

     この美術館は、中心の吹き抜けを中心に、そのまわりをぐるぐると各部屋を観ながら、どんどんと上階に
     上がっていく仕組み。
     吹き抜けに面した部分は壁が開いているし、上がっていく途中の階段にも、小さな窓が開いている。
     だからいろんな場所で、いろんな高さで、いろんな角度から、この作品が観られます。
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     へ〜、おもしろい。
     場所によって、遠くになったり、近くになったり。観る高さが変わると、だんだんこの階段がどんなふうなのかが
     見えてくる。
     こんなふうにひとつの作品が見えるんだ。
     この作品は、ここにそういう形で設置されることを前提として創られたのかしら。
     こういう風に観る作品もあるんだなあ。

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Juan Munoz "Plaza" (1996)

     たくさんの等身大の人が集まっている作品。
     ひとつの部屋の中心にあって、監視員がひとりついています。
     作品保護のために、作品の人たちの間を通り抜けることはできませんが、まわりを歩いて観ることはできます。

     この群衆の周りをゆっくりまわって観ながら、「なぜこの作品を創ったのかなあ」と思っていました。
     おもしろい作品のような、まったくわからないような。
     どう観たものか・・・
     と思っていたときに、作品の群衆を挟んで反対側に男性がひとり、私と同じように作品を観にゆっくりと入ってきました。

     そのとたん、私の目の前の情景が、がらりと変わりました。

     いろいろなポーズをした作品の白い人たちの間に、ちらちらと現実の色の洋服を着た人の姿が動きます。
     先に入ってきた男性のつれでしょうか。何人かの人が、そろりそろりと、同様に作品のまわりを観ながら動いています。
     動かない作品の白い人たちに交じる、色のある動く人たち。
     その2つの人影が合わさって、先ほどとはまったく違う表情の情景が、私の目の前に動いています。
     なんておもしろいんだろう!

     そうか! 
     この作品は、こうやって観客がいてはじめて成立する、それを前提として創られたものなのかも!
     私たちが参加することによってできる世界。 作者はこれを見せたくて、この作品を創ったのかもしれない。

     その展示物のまわりの空間をも含めてが作品となるインスタレーション。
     そのおもしろさはこういうことなのかな。

     長くなってきたので、次回に続きます。
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by sakanatowani | 2012-11-22 02:21 | アート art | Comments(4)
   植物のかたち
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     1週間が、あっという間に過ぎていきます。
     デュッセルドルフの美術館の続きを書きたいものの、なかなかゆっくり考える時間がないような気持ち。


     このところ、ずっと自分のイラストや版画のことを考えています。
     こういうことを考えているのは今に限ったことではないのですが、このところは特に、反芻しているような感じ。
     足りないと感じているものが何なのかを突き止めようとしているというか、自分が欲しているものは何かを考えているというか。
     ストレスで描けなくなっているのもありますが、まあそれは横においといて、自分の作品を見つめ直すいい機会にしようかというもくろみ;-)
     好きなイラストレーターやアーティストの作品を見ながら、自分の中を掘って探っているのかな。

     そんなことをしているうちに、改めて、植物を観察してみようと思い立ちました。
     それは、あるイラストレーターの絵がとても素敵で、そこに描いてある植物群がとてもきれいだったから。
     そして、先日ふらりと行ったアート博で偶然出会い、もうどうしようもなく惹かれたドイツのアーティストの作品が、
     自然の素材を使ったもので、それも私の求めているもののひとつなんだと気づいたから。
     また、よく考えてみたら、最近惹かれるアーティストの作品は、抽象であれ、どれもが自然からインスピレーションを
     受けたものなんだと改めてわかったから。

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     バルコニーでキュウリをつくっていたぐらいですから、植物は大好き。
     の中にいると、本当にリラックスできる。
     自然が大好き。足りなくなると苦しくなる。
     でも、身体に感じるだけ、手に触ってみるだけで、そのかたちをじっくり見て絵に置き換えようとは思ったことは
     なかったかも。

     なんででしょうね。
     自分が好きなものはわかってるつもりでも、どう好きなのか、どういう風にしたいのかってことは、
     案外実は気づいてないのかもしれません。

     そんなわけで、今週から(やっと夏休みが終わって!)本格的に始まった美大の中庭で、そこらに生えてる興味を惹かれる
     かたちを写真に撮りまくり。

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     本当にいろいろなかたちがありますね。
     そして、それぞれがつくづく美しいかたちをしているなあ、と。

     これをどんなかたちでイラストや版画にしていけるかな。

     今はまだ、真ん中の写真みたいに頭の中がごちゃごちゃしているけど、それを静かにじっくり反芻していくと、
     いつかそれが発酵して、自分のかたちが描けると思います。
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by sakanatowani | 2012-11-16 02:33 | ひびのこと diary | Comments(6)
   日本のかぶ♪
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平たい紅色の蕪は、いつも使ってる蕪。中は真っ白です

     今日、市場で日本のと同じ種類の蕪を見つけました。
     白くて丸くて、葉っぱがわさわさついてる蕪。
     私がいつも行く市場で見るのは久しぶり。この10年で2度目でしょうか。
     嬉しくなって、いつも買う紅色の蕪を横目に、この白蕪をふた株買いました。

     この蕪を買った屋台のおじさんはアラブ系の人。
     彼も仕入れ先で、昨日初めてこの蕪を見つけたんだって。最近ローマの方でつくられるようになったそう。
     「葉っぱは取る?」って聞かれて、
     「そのままにしてください。食べるから」って言ったら、
     (どこなんだろう?)彼の国でも、葉っぱを食べるんだって。
     どうやって食べるのか、聞けばよかったな。

     今朝はほんとはハヤシライスもどきをつくりたい気分で市場に出かけたのに、この蕪を見つけたら、
     蕪の葉っぱのふりかけを食べたくなっちゃった。
     ご飯のメニューって、やっぱり食材から浮かんでくることが多いよね。
     その昔、1年のイタリア滞在後、日本で一時居候させてもらっていた友人宅でご飯をつくっていたんだけど、
     いつも浮かぶのは日本食。
     別に自分が久しぶりに食べたいからってわけではなくて、日本で買う食材を見てると、
     やっぱり日本食メニューがぴったりくるんだよね。
     居候させてくれた子は、私がイタリアご飯をつくるのを楽しみにしててくれたらしいんだけど。

     さて、市場から家に帰って、さっそく蕪の葉っぱを細かく刻みます。
     それを唐辛子を1本入れたごま油で炒め、そこにお醤油、蜂蜜を入れてさらに炒め煮。
     水分がなくなったら白ごまをパラパラ。
     今日のお昼は、さらにショウガとたっぷりのネギ(ポロネギだけど)を入れたお出汁で煮た蕪をおかずに、
     白いご飯に蕪の葉っぱのふりかけ。
     おいし〜い♪

     すっかり初冬のメニューになりました。
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by sakanatowani | 2012-11-09 21:11 | ごはん food | Comments(4)
   全聖人の祝日
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     最近、どんどんと木々が色づいて、ここはすっかり秋です!

     ・・・と書き始めたかったのですが、この数日で急にぐっと気温が下がり、最高気温が10度あるかどうか。
     この数日は、しとしとと1日中冷たい雨が降っていて、昨日なんてもう手袋が欲しいほど。
     もうすっかり冬の始まりです。

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     昨年、紅葉の真っ盛りで息をのむほどきれいだった風景を、残念ながらカメラを持っておらずに撮り損なったので、
     今年こそはと紅葉を今か今かと待ちながら、毎週土曜日ここを通りかかる日には、カメラを持参していたのです。
     上の2枚は、先々週の土曜日に撮ったもの。
     紅葉真っ盛りにはまだもうちょっとというところ。

     先週の土曜日が、たぶんいちばんきれいだったんじゃないかな。
     ところが「よし、撮るぞ」とシャッターを押したのに、電池切れ・・・あ〜ん(泣)
     ちょうど雨足も途切れて、いい感じで紅葉に縁取られるポー河が観られたのに・・・。

     先週の日曜日には、ヨーロッパ全体に大寒波が来襲したので、それで色づいた葉っぱは散り始めてしまったみたい。
     それ以降、外に出るとほっぺたがひやっと、ちょっときーんとするような、冷たい冬の空気になりました。

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     今日11月1日は、イタリアでは全聖人の日で祝日。
     昨年も書きましたが、この日はイタリアのお彼岸のような日で、みんながお墓参りに行くのです。
     そのときに持っていったり飾ったりするのは菊の花。
     これは一昨日撮ったものですが、うちの近所の教会横のマーケットの花屋さんは、菊の鉢植えでいっぱいに。
     他の花屋さんに配るのでしょう。この日は菊の鉢植えをいっぱいリヤカーに積んで配達する人も見かけましたよ。

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うわ〜、空が真っ青に写ってる!ほんとは下の写真の空よりやや薄いぐらい

     秋はほとんど毎日雨のこの街でも、この日は青空が見える気持ちのよい日になりました。
     こんなにきれいな色になった樹を観ると、もう少しだけこれが続いてほしいなあと思います。
     でもこのあとには雪も降る冬が待っています。

     この街に来てから、すべての街の動き、国の動きさえ止まり、辺り一面がよどんだようになる夏が好きではなくなりました。
     そのかわり、冬が好きになって来たんです。
     いくら毎日、灰色の雲に覆われた、低く暗い空しか見えなくても。
     だって時には、こんなにきれいな雪景色も見えるのですから。雪景色の公園は、この記事の最初の2枚と同じ公園です。

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紅葉の並木のずっと奥に、小さく白い山並みが見えますか?

     でもそんな雪が降るのはまだまだ先。
     だけど一昨日には、待ちに待った雪で真っ白になったアルプスが見えました。
     この白い山々を見るのが、私の冬の勇気や元気のもと。
     これをもう見られるようになったんだ!と、ちょっとワクワクしましたよ。

     この記事を書きながら、昨年はどんなことを書いてたのかなと調べてみたら、なんとシェアアパートの同居人のひとりDの
     お母さんが来ていたんですね。
     ふふふ、このマンマ、今年も来てますよ〜。
     一昨日の夜遅くにこちらに着いたようです。どうやら息子もこの突然の来訪を知らなかったみたい。
     たしか中学校の先生をやっているというこのマンマ。
     イタリアの小中学校はこの週、1週間お休みだったり、諸聖人の日から週末までを連休にするのです。
     今年も、彼女の仕事がお休みになる連休を使って、息子の様子を見に来たのでしょう。
     ええ、もちろん夕べも息子が仕事に行ったあと、マンマは洗濯機をまわしていましたよ(笑)

     こんなふうに今年も、秋から冬へと季節が移っていきます。
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by sakanatowani | 2012-11-01 06:41 | 季節のこと season's | Comments(4)