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   イヴォーナ(ポーランドにフレスコ画を描きに行く13)
     ずいぶん前から美大も夏休みなので、ほとんど誰とも話さない毎日。
      おかげで、今日バス停で待ってる間、偶然居合わせたおばあちゃんとの「あら、そこ日陰?私も入るわ。サングラスないと
      私はまぶしくてね〜」とか、おじいちゃんも混じっての「もう20分も待ってるのに、バスが来ないんだよ」という
      時間つぶしのおしゃべりが、ものすごく楽しかったです^^


     久しぶりに、ポーランド・フレスコ画日記、再開します。

     新しい出会いは楽しいものだけど、それが同じ目的、興味を持っている人となら、
     その楽しみはさらに大きくなるもの。
     今回のプロジェクト旅行で、私にいちばん刺激を与えたのは、だんぜんイヴォーナでした。
     彼女の天真爛漫で、好奇心旺盛なとこ。それが時々、相手にうるさがられちゃうこともあるんだけど、
     でも、人を思いやる優しさもすごくある人。そんなところも、素敵だなあと思っていました。
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イヴォーナはいつもマイペース♪

     前回、記事にした日(5月12日・木)の晩、彼女が「さかな、私の描いたものを見せたいの」と、
     自分の描いたものを見せてくれました。

     その時まで彼女はずっと「アートは私の趣味なの。仕事は不動産関係なのよ」と言っていたけど、
     鞄から出てきた作品は、どれもがきちんと完成されていて、しかも大量。
     そして「私の連絡先よ」とくれたパンフレットを見てびっくり。
     彼女はなんと、年10回ほどの展覧会に出品する人だったのです。

     当然、私は彼女に聞いてみました。
     「これだけたくさんの展覧会に出品しているのに、なぜあなたは自分をアーティストじゃないというの?」って。
     すると彼女はちょっとすねたように、「だって、私、自分の絵を売りたくないんだもの」と答えるんです。

     何がアートか、どういう者がアーティストなのかという問題はさておいて、自分が思いを込めて描いたものを、
     他人に渡してもいいかどうかってこと。
     これって、今までも何人かと話したことある話題です。

     イヴォーナの場合は、お金がどうとかではなく、何よりも、自分の作品は手元においておきたい。
     食べるためには絵を描いてない、だから自分はアーティストじゃないと言うんだよね。

     一方、ラウルは、絵を売って、それで生計をたてています。だから彼と同じような話をした時に、
     「手放すのは嬉しくはないけど、生活するお金が必要だからね」と言っていました。
     生活していくためのお金を得るためとなると、(顧客を持っていない限り)今度は、自分が好きな絵ばかりを
     描いているわけにはいかないという問題も出てくるから、ちょっと気持ちがややこしくなることもあるしね。
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食べかけて置いて、そのまま忘れちゃう。こんなことするのはイヴォーナ^^

     もうずいぶん前、まだ以前のイラストの学校にいたころに、ずっとファンだったある画家の個展で、
     私は画家本人に「自分が描いたものを手放すのは、寂しくはないですか?」と聞いたことがあります。
     彼は当時、もうすでに60代のベテランで、イタリアではあまり評価されないイラストっぽい絵を、
     キャンバスにだけでなく、これまたイタリアでは評価されない小包用の紙にも描くような人でした。
     *イタリアでは、キャンバスの絵=絵画との認識が一般的で、それ以外はあまり評価されません。つまり、売価がとても安くなります。
     私の質問に、彼はにっこり笑って「僕は描いている時が楽しいんだ。描き終わったら、それで楽しみはおしまい。
     だからあとは売ってしまってもかまわないんだよ」と答えてくれました。

     同じ美大に「(私以外に)日本人が入ってきたよ」と耳にして2年、去年やっと知り合ったその人は、
     「最近ふと、自分は作品を売りたくないんだとわかっちゃった。アーティストになるために(それを職業として
     生活していくために)、仕事をやめて、今まで何年も使って頑張ってきたのに、今さらそんなことわかっちゃっ
     て、『こんなとこで私、何やってんだろ』って考えちゃった」って、ある時ポツンと話してくれました。

     絵を描く気持ちはみんな同じだろうけど、売るかどうかとなると、いろいろだよね。
     版画のような複製できるようなものならともかく、絵は1点ものだから。

     今の私はといえば、イヴォーナとラウルの間かな。
     その当時の生活も含めての試行錯誤のはてに描いた絵は、思い出がつまり過ぎていて、
     やっぱりちょっと手放せない。
     でも、今から描くものなら売っていくだろうなと思う。
     でもできれば、その新しい所有者と、連絡がとれるようにしておきたいかな。

     そんな話を、その晩イヴォーナとしました。
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影かどこかのパーツの一部に熱中しております

     私が彼女をおもしろいなと思ったもうひとつは、その視線。
     彼女、影にものすごく興味があるのです。

     この日の昼間に彼女が行ったギャラリーでのアダムの娘さんのピアノコンサートのこと。
     「どうだった?」と聞いた時(私は絵を描いていて聴かなかったので)、彼女はいきなり目を輝かせて、
     自分のカメラのある写真を見せてこう言った。
     「すごくいいでしょ、この影!あのね、会場に入ったとたんに、もうこの影しか目に入らなくって!
     ああ、もちろんピアノは素敵だったわよ。でもね、演奏の間も、もうこの影のことしか考えられなく
     なっちゃったの!」

     彼女のこの猪突猛進的な「他のものは目に入らない!」って感じ、私もすごく身に覚えがあるから、
     思わず笑ってしまいました。

     彼女が写してた影、本当にきれいでした。形も興味深かった。
     そして、彼女のカメラには、本当にたくさんの影の写真。
     彼女の絵でも、影はいつもモチーフとして使われているし。
     そのギャラリーにあった絵画作品の説明も、私とは違う彼女の視点を通してで、
     とても興味深いものでした。

     おもしろいなあ。私はふだん、影にそこまではひかれないから、彼女との話、本当におもしろかった。
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     私がイヴォーナみたいになっちゃうのは、色や色の組み合わせ、その雰囲気で、かな。
     音楽を聴いていても、香りをかいでも、ある色やいろんな色がパーッと頭のなかに浮かんできて、
     その雰囲気に、それはもううっとりと夢中になってしまう。

     彼女とは、言葉の壁が高くってなかなかスムーズな意志の疎通ができなかったけど、でもそのわりには、
     自分が大事にしていること、深いことを、たくさん話せて共有できた気がします。
     こういうことがあるから、思いきって外に出るって、大切なんだよなあってつくづく思った出会いでした。

     影、色、音、香り・・・
     まわりが見えなくなるほど、一瞬にしてあなたをひきつけるものはありますか?
     そしてそれはなんですか?
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by sakanatowani | 2011-07-29 18:33 | フレスコ画 affresco | Comments(6)
   サル?それともオウム?
     少し前から気になっていた洗面台の水が出にくいこと、そろそろ我慢できなくなってきた。
     洗面台が2つあるので、出る方を使ってしのいでいたのだ。

     ここは水がかなり硬水なので、こまめに手入れをしないと、すぐに蛇口にはめ込まれてるフィルターなどに
     石灰分がこびりつき、放っておくと、水が出にくくなってしまいます。
     今までの経験から、たぶんうちの蛇口のフィルター内には、石灰分の小石がジャラジャラ入っていそう
     (何年そうじしてないんだろう^^;)。それぐらい水が出にくい。

     手持ちの工具は金づちとねじ回しセットのみ。ああ、スパナがない・・・。
     そこで同居人1:Rに聞いてみることに。
     でもイタリア語でスパナってなんていうのかな〜と辞書をひいてみると、「chiave(キャーヴェ)」。
     これって、鍵って意味でしか使ったことなかった。へ〜、chiaveなんだ〜。

     さかな「ねえ、キャーヴェ持ってる?」
     同居人R「え?」
     さかな「だから、キャーヴェ。こう、ねじってゆるめる工具が必要なの」

     そして同居人Rは、私と一緒に洗面所に来て、洗面台前での私の説明を聞いて一言。
     「ああ、pappagallo!」

     pappagallo(パッパガッロ)=オウム
     モンキーレンチだ!
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     ヘ〜、日本ではサル(モンキー)だけど、イタリアではオウムなんだ〜!
     なるほどね〜!
     おもしろ〜い!

     残念ながら、Rはモンキーレンチを持っておらず、「見つけたら僕が直すよ」という。
     が、Rの「見つけたら」は、いつになるかわからない。いえ、本当に直してくれるんですよ、彼は。気長に待ってればね^^;

     私は今まで自分が我慢強く、気が長い方だと思ってた。でも長年の忍耐を強いられる生活で、
     どうやら限界を超えて気が短くなったよう(笑)
     今すぐ直した〜い!

     で、借りてきました。パッパガッロ。d0165762_22362982.gif

     これね、モンキーレンチみたいに、ネジでレンチの幅が
     変わるんじゃなくって、持ち手を広げながら、
     フックの位置を変えて幅を変えるタイプ。

     これを貸してくれた、知り合いの旦那さんいわく、
     これがパッパガッロで、ネジで幅を変えるタイプは
     「chiave inglese(キャーヴェ・イングレーゼ)」、
     直訳すると「イギリスのレンチ」というんだって。

     ふ〜ん、いろんな言い方があるのね〜。
     でもなぜイギリス?
     関係ないけど、この記事書きながら英語の辞書をひいたら、
      スパナはイギリス英語でレンチはアメリカ英語だって。ほほ〜



     そう思いながら、借りてきたパッパガッロを見ていると、これはオウムというよりも、
     ウナギイヌの顔みたいにみえてきた^^
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     夕べ、この知り合いの家からパッパガッロとともに帰ってきたのが深夜12時。
     我慢できずに、そのまま洗面所に向かって、使いましたよ〜、パッパガッロ!
     簡単にはずれました、蛇口のフィルター!
     ああ、工具って素晴らしい!
     直径1㎜ぐらいの石灰の小石が、もうものすごくたくさん入ってた!きゃ〜!

     夕べは、そのままフィルターを石灰取りの洗剤につけ込んで就寝。
     今朝、水洗いして、さらに古い歯ブラシでごしごし磨き、蛇口にはめ込んで、パッパガッロでキュッ!

     おお〜、水がすっごく出るようになった〜!
     ああ、やった〜!達成感あり!^^ P

     外では洗濯物がカンカンに照った日に乾かされているし、洗面台の水もジャーッと出る。大・満・足!
     さて、午後はお絵描き作業に戻りましょう。
     そろそろ、ポーランド旅行記も再開しなくちゃね。

     ではまた^^
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by sakanatowani | 2011-07-24 22:28 | これな〜んだ? | Comments(8)
   歌声
     2週間ほど前から、夕方になるとどこからか、オペラの練習の歌声が聞こえます。

     私がこの家に引っ越してきたのが今年の2月。
     気候がよくなってきて、窓を開け放すようになったから、この歌声が聞こえるようになったのか、
     それとも、この歌姫(もしくは歌姫の卵)が、最近近所に引っ越してきたのか。

     聞こえる練習は、毎日30分ほど。
     毎日毎日の積み重ねが、力になっていくんだなあと、その歌声を耳にしながら思います。
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私の部屋の窓から見える風景。このどこかに歌姫が住んでるのかな。

     そういえば、幼稚園の頃住んでいた社宅でも、オペラの歌姫の声をよく耳にしていました。
     両親が「○○君の奥さん、オペラ歌手だそうだよ」という会話をしていたのを覚えています。

     私が夜ふとんに入るころが(夜8時過ぎでしょうか)、彼女の練習時間でした。
     (もしくは、帰宅後のご主人に聞かせていたのかな)
     そしてその時間によく停電があったのです。昔はしょっちゅう停電があったんですよね。

     そのせいで、幼稚園の私は、「あのオペラの人が歌うと停電する。あの人が停電にさせてるんだ」と思い、
     彼女の声が聞こえると、「うわ〜、やめて〜。停電にしないで〜。こわいから〜!」と、
     豆電球だけをつけた薄暗い部屋の中のふとんにくるまって、その見知らぬ歌姫にお願いをしていたのでした(笑)

   Grafica per il Giappone、その後
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by sakanatowani | 2011-07-17 02:07 | ひびのこと diary | Comments(6)
   ただいま製作中
     こちら、なんだか日本の梅雨時のような毎日。

     ちょっと蒸し暑い日もあるのですが、1日中雨か、晴れてもすごい夕立ちがきて、ググッと気温が下がります。
     昨日なんて、最高気温21度。夜は半袖じゃ寒くて、長袖パジャマを出しました。
     でも今日は、日中30度まで上がって夏の日に。1日で10度も変わるって^^;

     例年なら、昼間は35度ぐらい、盆地なので夜は湿度が80%ぐらいまで上がるのでぐったりし、
     スイカだけを食べて暮らしているのに・・・。

     な〜んて書いていると、暑さが戻ってきちゃうかな。
     暑いのが苦手なので、この感じでいいよ〜♪って思ってます。
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     このところ、新しい絵の描き方を試してます。↑なんじゃこりゃ?!って写真になってますね(笑)
     まあ、気に入らなくて書き直したりの試行錯誤中なんですが。
     どうなることやら。でも楽しんでます^^
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by sakanatowani | 2011-07-15 02:54 | ひびのこと diary
   これからの1年・・・
     気がついたら、このブログを始めて、もう1年がたっていました。

     無我夢中だったこの1年。
     あのどん底の年月から、ほんの1歩、小さな階段を上がった感じです。

     いろいろな方と、短くても、心からの言葉を交わせるのが、このブログが私にくれること。
     元気をもらっています。
     みなさん、どうもありがとうございます♪
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     このところ、自分の絵に、今まで以上に真っ向から取り組んでみています。
     昨日、ちょっと気に入った感じのものが出てきました。
     自分にしっくりくるものを、しっかりつかめるように、この夏はがんばろうと思います。

     それから、イタリア語でフィリップ・プルマン(Pilip Pullman)著『黄金の羅針盤』を読み始めました。
     これは、知り合いの子どもたちが数年前に「おもしろいよ」といっていた冒険物語。
     2008年に映画でも公開されたので、ご存知の方もいるかもしれません。

     日本の本が手に入らないこちらでは、読書は楽しみたいからと、今までなるべくイタリア語は避け、
     英語の本を選んで読んできました。英語も得意ではありませんが、やっぱりイタリア語より長年接してるぶん、
     イタリア語を読むよりは楽。
     そして美大の勉強で読まなくてはいけない本(イタリア語)に苦労させられてるので、
     これ以上本を読むのに苦しみたくない^^;

     ところが、この街どころかこの州の図書館にも、この本の英語版は置いてない。
     イタリア語版なら、近くの図書館にもある。
     映画のDVDはすでに近所の図書館で借りて観て、おもしろくて続きが観たい!と思っていたら・・・
     経済的な理由で、制作中止が発表されていたのですね(Wiki)。
     そんなわけで、重い重い腰をやっとあげ、イタリア語で読んでみることにしたのです。

     今のところの感想は・・・私のイタリア語を読む力も上がってきたかな〜。でも英語のほうが・・・
     ・・・いやいや、がんばるよ。おもしろいから読み切れそう・・・でしょうか^^
     この夏の挑戦のひとつです。(←おおげさ。でもそのくらい避けていたのです)


     これからの1年は、どんなことがあるのかな。
     まだまだ自分のことだけで精一杯の私ですが、これからのことを楽しみにしながら、
     ゆっくりこのブログを続けていこうと思います。

     これからも、よろしくお願いいたします^^
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by sakanatowani | 2011-07-10 23:08 | ひびのこと diary | Comments(9)
   おっ、腕が!と、海の上の午後(ポーランドにフレスコ画を描きに行く12)
     先日は、あのまますぐシャワーを浴びて、無事、腹の虫を押さえつけて眠ることに成功!やった!^^

     5月12日(木)
     朝7時。携帯の目覚ましで目を覚まし、スタンと一緒に、1階と2階をつなぐ、床部分だけが上下に稼動する
     エレベーターで階下へおりる。
     ふふふ、不思議なお家だわ。
     2階には、猪の敷物があり(頭と爪つき)、その横には、さも当たり前のように、毛皮のコートが広げて
     敷かれていたのは、男性陣には内緒。あとでイヴォーナに話そう^^

     おはよう、みんな〜。
     夕べ、かなり酔っぱらっていたアレハンドロも元気に起きているようだし、今日中に仕上げないといけない
     シルベスターは、朝6時に起きて、もう一仕事すませてきたらしい。

     朝食の席で、スタンに相談する。「あのね、私の腕、こんなになっちゃってんだけど・・・」
     一目見るなりスタンは言う「ああ、これはアレルギーだね。典型的な症状だよ」

     ああ、やっぱりアレルギーか。
     実は昨日ヘリコプターを待ってる時から変だな〜と思ってたんだけど、両腕ともがかなり腫れていて、
     手をグーにするのもやっと。
     スタンは同じような症状に、蚊に刺されてなったことがあると言っていたけど、私の場合は日光だろう。
     袖から外に出ている部分が手の先まで、みごとに腫れているから。
     もともと日光で湿疹はできてたけど、こんなに腫れたのは初めてだ。
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ぷくぷくの赤ちゃんの手みたいになった私の腕(いつもはこうじゃありません^^;)

     ああ、とうとう日光にもアレルギーが出たか。
     この数年、どんどんといろいろなものに対するアレルギーが出てきている。

     それにしても、私はラッキーだ。
     だってスタンは元お医者さん。彼がアレルギーだと診断したら、そうなんだろう。じゃあ安心。
     アレルギーなら、いつも持っている抗ヒスタミン剤を飲んで、あとはこれ以上日光を浴びないようにして、
     あとはアレルゲンが身体の外に出るのを気長に待つだけだ。

     さて、今日も早朝からお仕事。
     今日は午後から、とあるギャラリーでやるミニコンサートに、アダムが私たちを連れていきたいとのこと。
     彼の娘さんがピアノを担当するのだ。
     そのために、ほぼ午前中だけの作業になりそう。
     なので、今日のジョルナータは、本当に簡単にできるところにした。

     昨日、最後の最後になって修正した顔の部分、ちょっと黒っぽいかな〜。
     でももう修正もきかないんだけど。
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     ピグメントがうまく定着しない髪の部分のことをジーザスに相談すると、今からでも、石灰の上澄み液の
     スプレーをするといいよ、とのアドバイス。
     どうかうまくくっつきますように、と願いを込めて、シュ〜シュ〜とスプレーする。
     もしどんどんはがれてきちゃったらこの女の子、1年後には、金髪になってそうだもんね(笑)

     今日は時間がないので、ミキサーで撹拌したみんなの漆喰を使うことにする。
     (「でも僕たちの漆喰がベストだ!」とジーザスはにやりとしたけどね)

     あれ?ものすごくやわらかい!水っぽいっていうのかな?
     そうか、これだから、私が初日にアドバイスされたけどできなかった筆のお尻で下書きを写すってことが、
     みんなにはできたのか〜。

     ふと横を見ると、シルベスターの手伝いで漆喰を塗っているマチェックの動きが、
     今まで私がやっていたのとは全然違う。
     体全体で、上下ではなく左右に、漆喰を平らにしている。
     これも、この(漆喰の)柔らかさだからできることだ。
     今日はこのやり方も取り入れて、ひと塗りめとふた塗りめのパレットの継ぎ目の部分の漆喰も、
     平らにしていくのを目標にしよう。
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     お昼前に、イヴォーナたちがやってきた。
     「さかな〜、おはよう。夕べはどこに泊まったの?」

     イヴォーナに、スタンのお家の2階の様子を話したり、夕べは私も隣室の人もいなくて、
     彼女は心置きなくリラックスして眠れたという話を聞いたりして、ひとしきりおしゃべり。

     そしたらラウルが私のところに来て、「さかなは午後も作業したい?」と聞く。
     よく聞いてみると、私たちの作業の進行具合を見て、日曜日のオープニングまでに終わるのだろうかと、
     スタンが心配しているらしい。
     え?!オープニングなんてあるんだ!それも初耳〜^^;
     だから彼からアダムに、今日の午後も作業に残らせてもらえないかと話をするというのだ。
     もちろん私は残って作業したい。
     よかった〜^^。ここにいるのが楽しくてたまらないのだ。ごめんね、アダムの娘ちゃん。
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     昼食後、イヴォーナ、アレハンドロ、アダムとアーシャは、コンサートへと出かけていった。
     残った私、ジーザス、ラウルは作業の続きだ。

     フレスコ画のジョルナータは、左上から右へ、そして下段左から右へ描いていくのがルール。
     こうすると、絵の具が下にたれても、最終的に残る画面には影響がないからだ。
     でも今日の場合は、ちょっとそのルールをやぶって、短時間で終わりそうな右端に移動する。
     もちろん、師匠のジーザスには了解を得た^^
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     3人ともそれぞれが、自分の作業だけに黙々と取り組んでいる。
     聞こえるのは、バタバタと風に鳴るテントの天井だけ。
     ああ、幸せな時間だ。これがジーザスのいうモメント・ドーロ、至福の時なんだな。

     バタバタと鳴るテントの音を聞きながら、ただ黙々とパレットで漆喰を塗り、筆を走らせる。
     何も考えない。ただ目の前の作業に集中する。
     ふとした瞬間、自分が海の上にいるような気になった。

     大学時代、私はヨット部だった。
     みそっかすで、たまにしか海には出られなかったけれど、海の上で休憩する時、シバー(帆に風を
     はらませないでおく状態)にしたヨットの帆が、バタバタと風に鳴り、まわりは広い海。
     他には何も聞こえない。そんな状態になる。
     今ここで絵を描いていて、その海の上にいた時と同じ気持ちになった。

     目ではたしかにフレスコ画の壁を見て作業しているのに、自分のまわりが海になってしまったよう。
     海の上で私は絵を描いていた。

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     さすがに今日はホテルでゆっくりしたいからと、夜7時頃に作業場からホテルに帰る。
     ホテルに戻ってシャワーを浴びて、ジーザスはここに住む友人に会いに出かけ、
     私たちはイヴォーナたちと一緒に夕食。
     部屋に戻ってからも、イヴォーナとは、今日彼女が行ったコンサートのこと、彼女の絵のこと、
     アーティストとはなど、興味深い話がつきなかった。

     今日はすごく穏やかな1日だった。
     明日はまた7時半ホテル出発。おやすみなさい。

     (つづきます)
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by sakanatowani | 2011-07-08 04:17 | フレスコ画 affresco | Comments(0)
   フルーツ天国!だがしかし・・・
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     また少しずつ暑さが戻ってきました。

     少し前から、早寝早起き、お菓子抜きの生活を実施中。
     はい。びっくりするほど横に育ってしまった身体の矯正と、自分に喝を入れるため。

     今朝、街中まで所要で出かけ、そのあとついでに1つ用事をすませ、スーパーに寄って帰宅。
     この数日は、マフィン系が食べたくてたまらな〜い。
     スーパーではこの誘惑を振り切りましたが、これでもかっていうほど他の食料を買っていた(汗) 

     昼食をすませたら、催眠薬でももられたか(笑)と思うほどの睡魔に襲われ、
     ぐ〜ぐ〜とたっぷり昼寝してしまった。ちょっと疲れてるのかも(←言い訳〜)
     と、まあ、全然、自分に喝入ってません^^;

     これは今日の夕食。
     長い午後のお昼寝のおかげでお腹があまり空いていなかったので、
     この時期、これでもか!と出ているフルーツ三昧です^^

     が、これを書いてる夜10時45分。お腹が空いてきました〜。

     い、いけない!ここで食べてはいけないぞ〜!
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by sakanatowani | 2011-07-06 05:54 | ひびのこと diary | Comments(2)
   野宿?!(ポーランドにフレスコ画を描きに行く11)
     昨日から、突然気温が下がって涼しくなりました。朝8時で19度。ちょっと寒いぐらい。
      日中でも25度ぐらいで、気持ちのいい天気です♪ が、もう風邪ひきました^^;


     5月11日(水) 午後

     10分?15分? 航空写真を撮りに来たヘリコプターは、ゆっくりあたりを何度も旋回しながら、
     そのうち遠くの空へ消えていった。
     ああ、行っちゃった・・・。
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     さあ、作業再開!早くしないと漆喰が乾いちゃう!

     今度は、私の大事にしているモチーフ、空を飛ぶさかなを塗る。
     メキシコらしい強い色彩のジーザスの絵を見ていて、あんなふうにグイグイと色を塗っていくのも
     いいなって思ってた。
     だからさかなの部分は色水ではなく、パレットにピグメントをとって、少ない水で塗ってみよう。

     「モメント・ドーロだ」とジーザスがつぶやく。
     イタリア語で momento d'oro、日本語に直訳すると、金の瞬間。
     「何も心配事のない、自分が満足してる時間だよ」
     そう言うジーザスに、「私には、心配事のない、そんな時間来るのかしら」と、自分のフレスコ画を
     見ながら私はつぶやき返す。
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     空の部分が終わり、女の子の頭の部分を塗っている頃だったかな。
     なんだか背後のみんなが騒いでる。
     すると突然アダムが遠くから私に叫ぶ。「さかなは車に乗ってくかい?」
     いつもなら7時半ぐらいまで作業をするのに、5時半頃に、すでにアダムが帰るという。
     今アダムの車に乗らなかったら、ここに泊まるしかないという。

     え〜!ちょっと、ちょっと!そんな急なこと言われたって、急には作業はやめられない。
     少なくとも、余分な漆喰を掻き落とすところまではやらないと、全部台無しになってしまう。

     こういう伝達事項って、私のところに来るのはいつも最後だ。
     アダムからポーランド語でラウルへ。ラウルからメキシコ勢に伝わり、そこで彼らが話し合い、
     おおかた結論が出たところで、アダムかラウルから私へ英語で伝わってくるのだ。
     しかも事情は知らされないまま、私の返事のみを聞かれるから、たまったものではない。
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ヘリコプターの風で、テントの屋根が飛ばされたけど、作業し続ける私


     なんでアダムはこんなに早く帰る必要があるの?!たぶんアーシャが帰らなくちゃいけないんだ。
     今作業はやめられない。ここに野宿?!
     まあ、寒くはないだろう。でも、夜になると蚊が多いからなあ。
     そんなことを瞬時に考えながら、このオーガナイズの悪さにちょっと機嫌を悪くして、
     「私もここに残るよ!」と絵を描き続けながら叫び返す。

     後ろではまだゴタゴタが続いている。アダムがまた「さかな、作業やめて今来ないと帰れないよ!」と
     叫んでくる。
     イラッとしながら、「私はここに残るよ!作業を今はやめられない!」と再び叫ぶ。

     ラウルが「さかな、僕たちもみんなここに泊まるから大丈夫だよ」と言ってる。
     そしてどうやらそれを、アダムに伝えてくれてるようだ。
     「さかなも泊まるって?!」とアダムの声が聞こえる。
     彼はもうすでに、作業場からずいぶん離れたとこまで行ってしまってるみたい。勝手だな〜。
     こっちはいつもの作業時間を考慮して、今日のジョルナータを決めてるんだ。
     フレスコ画が急には作業を切り上げられないのを、アダムは知ってるはずだ。なのにこれって何なんだろう。

     「(残る意外)他に選択肢はないじゃない」そう独り言を言いながら、私は描き続ける。
     作業に慣れてきたとはいえ、漆喰がどこくらいの時間で乾いてしまうのかわからない。
     早く描き終えないとと気持ちが急いているのだ。

     「僕たちもみんな泊まるよ。作業を続けなくてはいけないからね」
     ラウルが背後から、まるで私をなだめるかのように話してる。
     ここでは私、自分の感情丸出しだな〜。
     いつもの我慢してる私はどこにいっちゃったんだろう。
     作業場で寝るのか〜。まあ、それもいい経験かも。でも蚊だけが嫌だな〜。
     はじめはそんなことを考えてたけど、すぐまた自分の作業だけに没頭しはじめる。
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     さあ、大事な顔の部分。
     光が胸の部分の月から出てるのだから、上半分は暗くしないと。でも濃くし過ぎて失敗したくない。
     いつもコントラストを強く出せないでいるので、心持ち強めに描いてみる。
     遠くから眺める。もう少し濃くてもいいかな。そしてもう一度遠くから確認。
     頬は少しピンクを入れてみよう。でも濃くいれ過ぎるとおてもやんみたいになっちゃう。

     「できた! 今日の作業終わり〜! 満足!」
     嬉しくって、思わず大きい声でジーザスたちの方に向かって言う。
     するとちょっとびっくりしたように、でもすごくニコニコしながら、ジーザスとラウルが私をみながら
     「大満足だって?」と言う。

     自分でもちょっとびっくりだ。こんなこと言うなんて、何年ぶり?もしかしたら初めてかも。
     でも今、大満足の気分なのだ。

     「だってね、昨日よりもうまく漆喰が塗れたし、考えて描けたから。昨日よりもうまくできた。
     それが嬉しいから」
     そうなのだ。初心者っていいよね。上達できることだらけだから、嬉しいことがいっぱいだもの。
     初心者の楽しみって、これに尽きると思う。

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     今この記事を書きながら、私って短気すぎるかなあとも思う。
     この日のアダムのやり方のように、自分が大事にしている作業を突如、理由も告げられずに中断させられる
     ことに、私はすごく不快感をもつし、イラッとなってしまう。
     ふだんからみてると、どうやらこっちの人は、イラついても平気みたいだ。

     日本人は、まず争い事を避けようとするから、相手の気持ちをくんだ話し方をするのがふつうだ。
     「○○だから、こうしなくちゃいけないんだけど、それでいいか」
     理由を伝えて、相手にわかってもらおうとする話し方。
     長い話し合いをしなくても穏やかに解決できるように、はじめから相手の考えを予想したうえで、
     自分の意図をわかりやすく伝えようとする文化。

     でもこっちでは、まずはその人がやりたいことを伝えるだけ。
     「僕は今帰らなくちゃいけないから、作業中断して。さもなければ泊まることになるよ」
     こっちが納得できるような相手の理由は、自分から聞かなくちゃいけない。
     こっちが「なぜ?どうして?」「でも私の事情は〜」といろいろ話せば、相手は聞く耳をもっている(はず)。
     「自分はこう思っている」という言い合いの文化だ。

     今だに私はこの文化に慣れないで、はじめに言われたことだけにパ〜ンと感情が反応してしまう。
     どんどん聞けばいいのに、どんどん言えばいいのに、日本式に「相手には相手の事情があるのだろう」と
     無意識に判断してしまい、相手の事情を優先して、自分を押さえるべきだと判断し、フラストレーションに
     いらついて黙ってしまう。悪循環。

     こちらの人が感情的ではなく冷静だというのではない。イタリア人なんて感情丸出しだ。
     相手にいわれたことにパ〜ンと感情で反応して、それが言葉と直結して、ものすごい勢いで出てくる。
     でもそれに対して言われた方も同様に反応するのだ。
     感情的な言い合い。
     正直いって、はたで見ていてぐったり疲れてしまう。
     でも、お互いに自分の言いたいことを言い合って(相手のことを聞いてはいないとしても)、
     お互いの妥協点が見つかればそれでよし。
     さっきの言い争いはなんだったの?!というほどにケロッとして、さっぱり終わる。
     感情的になることにネガティブな意識もないし、それに対するエネルギー量が違う気がする。

     問題は、感情的かどうかではないんだな。
     大事なのは、相手にしつこく聞けるか、言えるかどうか、だ。
     私みたいのは、ただ、すぐいらつくへそ曲がり、と見られて終わってしまってるのかも知れない。
     私自身でいられつつ、うまく相手とコミュニケーションできる方法って、どういうものだろう。
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     今日の成果に満足しつつ、気になっていた髪の部分をチェックする。
     この部分に使った濃い茶色のピグメントが、他のものとは違って、漆喰にあまりうまく密着しない感じが
     していたからだ。
     よくみてみると案の定、ピグメントが密着しているところとしていないところで、色がまだらになっている。
     色によって、ピグメントの性質や比重が違うので、これは経験や実験で覚えていくしかないところだ。

     かなり乾いていたようなので、ここで密着していないピグメントを、かぶっていたスカーフで注意深く
     はらってみる。
     そして、余分な漆喰を掻き落として、ここで本当に今日の作業は終わり。
     時間を見ると6時半すぎ。いつもなら、そろそろ帰り仕度をする時間だ。
     だいたい自分にちょうどいい1日分のジョルナータの大きさがわかってきた。
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     みんなの作業をみながらちょっと休憩し、今日の自分の仕事をもう一度チェック。
     すると、なんと顔の部分に、さっき払った焦茶色のピグメントがいくつか飛んでしまっている!
     どうやら、まだ湿っていた顔の部分の漆喰に、このピグメントも密着してしまったよう。
     がっくり・・・せっかくうまくできたと思ってたのに。
     しょうがない。顔の影の部分をもう少し暗くして、この飛んだ焦茶色をめだたないようにしよう。
     顔の部分なだけに、慎重に少しずつ、濃さを足していく。

     そこにラウルが来た。「僕も今日の作業は終わったよ。あれ、何してるの?」
     そこで自分の失敗を笑いながら話し、ラウルもあ〜あというように「修正は慎重にね」と笑う。
     彼は細密画タイプの画家だ。だから私の修正の仕方は、少々荒っぽく見えるのかも(笑)

     乾くとまた色が変わるだろうし、まだ私にはこの色のピグメントの経験は0だから、ちゃんとした予想も
     できない。
     まあ、こんなものだろう。完璧ではないけれど、初めての作品なんだから、多少の失敗には目をつぶるしかない。
     (もちろんクライアントに満足してもらえるクオリティは保たないといけないけど)
     
     早朝からはじめて、航空写真で中断した以外は、丸一日没頭して作業をした日だった。
     夕日が森の方に赤く輝いている。
     あ〜、きれいだ。
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     みんなの作業が終わって、いつもの小屋で、近所の人たちや今日の午後から参加のシルベスターも交えて夕食。
     今日はここに泊まることになってるから、みんなのんびりお酒も飲んでる。

     昼間に来たヘリコプターが低空飛行過ぎて、垣根や鶏小屋を吹き飛ばしてしまったと、隣の家のおじさんが
     嘆き、みんなが驚き、なぐさめる。
     シルベスターは美大の助手をしているそう。フレスコ画家としてここに呼ばれたことに大感激してる。
     その横で、まだ画家ともいえず、そうしたいけどどうしたらいいかを模索しつつ、初めてのフレスコ画を
     ちゃっかり描いている私は、ちょっと申し訳ないような気持ちにもなる。

     そんな夕食の宴のなか、アレハンドロはひとりで上機嫌に飲み過ぎて、ひとりで大笑いしたり、
     人の話にろれつのまわらない舌で割り込んできたり。ちょっと酔い過ぎ。
     そのうち気分が悪くなったんだろう。ふらふらと真っ暗な夜の草原に向かって歩き出す。
     みんな、「あ〜あ」という感じで見送る。
     しばらくみんなで話を続け、「さあ、そろそろお開きに」というところで、ジーザスはアレハンドロを助けに
     行き、ラウルと私はおもしろがってアレハンドロを盗撮しようと試みる。
     ああ、みんな性格が違うなあ^^
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     その晩は結局、スタンの家にみんな泊まらせてもらうことになった。
     みんなはそれぞれ1階のベッドルームや簡易ベッド、ソファに眠り、私とスタンは2階に。
     2階は洗面所以外は仕切りがないオープンスペースで、洗面所の向こう側がスタンのベッドスペースに
     なっている。
     私はちょうど反対側の、天窓の下の簡易ベッドをもらった。
     簡易ベッドは、寝ると体全体がベッドの枠から下に落ち込んでしまうもの(笑)だったけど、その晩は、
     蚊の大群とともに野宿どころか、まさに満点の星をみながら眠ることになったのだ。
     ああ、なんて幸せだろう。着替えもないし、体しか洗えなかったから、頭が汗臭いけどね^^。
     でも幸せな気持ち。

     (今日のはいつもよりさらに長かったですね。読んでくれてありがとうございます。つづきます)
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by sakanatowani | 2011-07-04 01:27 | フレスコ画 affresco | Comments(4)