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   着いたところは言語のるつぼ?!(ポーランドにまたフレスコを描きに行く2015・6)
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     今回ポーランドに行ったのは、2つのフレスコ画フェスティバルに参加するため。

     1つめは、4年前に描いたフレスコ画が何者かに落書きされてしまったから修復に来たはず・・・なのに、36時間の長旅の末、やっと
     こさ着いた駅から宿泊所に向かう車中で、「新しいのを描いてくれって、主催者が言ってるから」って聞いた私。
     とうとう拠点となるホテルに着きましたよ~。
     やっとお風呂に入ってさっぱりできる~♪

     ・・・という私の心の声も、むかえに来てくれた友人Rに促されるように小さなフロントをスルーして行った先、食堂の入り口でかき消
     されましたよ。
     師匠をはじめ、もうたくさんの人が夕食をとりながら盛り上がってるぅ~。

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食堂のランプに吊るされた宿り木みたいな植物は、ポーランドでは”みんなが楽しく集まるように”という習慣なんだって

     たいていは開催日当日またはその後に到着するのも当たり前というヨーロッパで、開催日前日にもうすでにこんなにメンバーが集まっ
     てるなんて!
     私のひそかな「さっぱりしてまずはのんびり」の計画は、自動的に「顔合わせの夕食の宴に突入」にすりかわり(涙)

     初めて会う人たちに圧倒されながらも「ハロ~」と食堂に入り、もう8年ぶりぐらいに会う師匠を目で探しつつ、まずは顔見知りと話
     して落ち着こう(汗)
     「ブゥオナセーラ~、フィナルメンテ! こんばんは~、とうとう(お会いできましたね)!」と近づくと、師匠が満面の笑みを浮か
     べながら「オオ~、フィナルメンテ! おお~、とうとう(来たね)!」と私に言い、すぐに他の人たちに向かって「彼女がさかなだよ。
     彼女もイタリア語を上手に話すんだ」と私を紹介する。

     (え?彼女もイタリア語をって・・・?)と振り向くと、私に向かって握手の手を差し出してる人、人、人・・・。
     「ハロー。私は⚪︎⚪︎。××から来たの」
     「ブゥオナセーラ。僕は△△。⬜︎⬜︎人だ」
     「ハロー。ぼくは・・・」
     ああ〜、もう誰が誰やら。顔と名前をいっぺんに覚えられない〜。

     長旅の疲れと久しぶりにたくさんの人に会っての戸惑いにちょっとぼんやりしながら、「明日からこの人たちと絵を描くんだな〜」っ
     て思って、みんなの話を聞いていた。すると、あれ? いろんな言葉が聞こえてきたよ。
     イタリア語、英語、ポーランド語、ロシア語、スペイン語・・・?
     今回の仲間は、いろんな言葉を話す人たちなんだ。

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イエ〜イ!!

     ここで参加者と話す言葉を整理してみますね。
      師匠(イタリア出身):イタリア語、英語はほとんどわからず、ほんの少しのスペイン語とポーランド語の単語
      友人R(メキシコ出身):スペイン語、英語、ポーランド語
      S(マルタ出身):マルタ語、英語、イタリア語
      A(オランダ出身):オランダ語、英語、イタリア語
      N(モルドバ出身):ルーマニア語、ロシア語、英語はごく片言
      V(モルドバ出身):ルーマニア語、ロシア語、イタリア語、英語
      G(ウクライナ出身):ウクライナ語、ロシア語、片言のポーランド語、英語はほんの少し
      F(ポーランド出身):ポーランド語、ロシア語、片言の英語
      An(メキシコ出身):スペイン語、ポーランド語、片言の英語
      さかな:日本語、イタリア語、まあまあの英語

     そしてこの夜到着したのが、
      K(オランダ出身):オランダ語、英語、イタリア語
      R(オランダ出身):オランダ語、英語
      As(オランダ出身):オランダ語、英語
      Fr(イタリア出身):イタリア語、片言の英語
      C(イタリア出身):イタリア語、英語

     そこに、ポーランド語と英語を話すこのフェスティバルの主催者家族が加わるわけである。
     もちろんここに書いたのはそれぞれの母国語と、今回、私たちの間で使われてた言語だけ。この他の言葉も話す人も多いでしょう。
     さすが地続きのヨーロッパ。そしてそれぞれの国の歴史的な背景から、その人が子どもの頃学校で習っていた言葉だったりと、その人
     の歴史だけでなく出身地の歴史から、話すようになった言語もあるわけです。

     さあ、では、ここで問題です。
     こういう仲間で話すとき、何語で話す?

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     答えは、「その相手との共通語で話す」です。それしかやりようがないよね〜

     つまりね、私は師匠(イタリア出身)と話すときはイタリア語で、でも友人R(メキシコ出身)と話すときは英語で話す。V(モルドバ出
     身)とはイタリア語で、でもその奥さんのN(モルドバ出身)と話すときは英語で。
     N(モルドバ出身)やV(モルドバ出身)、G(ウクライナ出身)、F(ポーランド出身)の間は、いつもロシア語。
     オランダ人グループはもちろん母国語のオランダ語で話すわけだし、メキシコ人やイタリア人の2人も同様。
     つまり、いつもあちこちでいろんな言葉で、そして私がわからない言葉で談笑してる小さなグループができるわけなのです。

     じゃあ、お互いの共通言語が得意でない場合は?

     自分で知ってる単語を駆使して、意思疎通を図るのです。
     ポーランドで年に何回も活動しているけど、単語はともかく基本はあくまでもイタリア語で通す師匠。彼がR(メキシコ出身)に話すと
     きは、イタリア語を話しながら、ところどころ、例えば「絵を描く」とかの単語をスペイン語にして話すのです。一方、Rはスペイン語
     をゆっくりと。

     もともとイタリア語もスペイン語も同じラテン語系の言葉だから、それぞれが母国語の2人は、これでかなりの意思疎通が図れるらしい
     のです。(ところが私がRにイタリア語で話したり、彼が私にスペイン語で話しても、お互いにわからないのはおもしろいところ。
     だから私たちの間はあくまでも英語が基本です)

     私とG(ウクライナ出身)の間も試行錯誤のこのケース。
     彼が知ってる英単語は本当に少し。しかもふだん話してないから思い出すにも時間がかかる。
     でもね、話したい。伝えたいから、ゆっくりゆっくり、お互いに工夫しながら、トライ&エラーで話すのです。

     こんなことしてるとね、外国語を話題にすると必ず出る「上手に話せない」とか「間違えたらって思うと躊躇しちゃう」ってことは、どう
     でもいい些細なことだな〜って実感する。
     「伝えたい」「聞きたい」「話したい」ってことがいちばんで、言語なんてそのためのただの道具なんだなあってしみじみ思う。
     もちろんその道具がうまく使えたほうが、より深いことも伝え合えるわけだけどね。

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     そんなふうに、「話したい」、「伝えたい」の気持ちでつながった私たちは、翌日からフレスコ画を一緒に描き始めるわけです。

     「じゃあ、明日の朝は8時半に朝食、9時にはホテルを出発だよ」

     師匠がそう言って席を立つのを見送って、まだお酒を飲みながら盛り上がるみんなを食堂に残し、私も10時ごろ部屋に上がり、シャワー
     を浴びてさっぱり〜。
     そのままベッドに倒れこむ。バタリ!

     長い長い1日(? 本当は約2日)がようやく終わりました。


     
by sakanatowani | 2015-09-08 17:01 | フレスコ画 affresco
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