毛筆レッスン
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練習を気軽にいっぱいできるように、紙は新聞紙の裏利用(笑)

     先週から週1回、友人のパートナーと毛筆のレッスンを始めました。
     彼は習字を習いたいのではなくて、絵の勉強の一環として、毛筆を使った動きを知るというのが目的。

     私は小2から中3の高校受験直前まで、毎週土曜日、近所のお習字教室に通っていました。
     楷書、行書、草書。草書をやり始めたとき先生に、「ちゃんと何書いてあるかわかって書いてるか? わかって書いてなきゃ、
     意味ないんだよ」そんなふうに怒られたりもしたな~。
     習字、大好きだったのに、高校受験だからって、中3の年明けにやめさせられちゃった。
     またやりたいな。機会が来たら、また誰かに教えてもらおう♪

     こういうレッスンを申し込まれて初めて、習字ってどういうものか、習字の線ってどういうものか、
     あらためて考えちゃいました。
     だって彼は、筆で使う「動き」を習いたいんですものね。何をどう教えたらいいかなって思って。013.gif

     あらためて考えてみると、習字の特に楷書って、それぞれの線はある一定の形にするというルール、その形が美しい
     っていう考え方があるんですよね。
     で、それらの形は、正しい箇所で、適切な筆の持ち方で、適切な圧力を与えたりゆるめたりすることでできる。
     つまり毛筆の線って、筆をどうやって使ったか、それがそのまま写されちゃう。
     しかも筆の持ち方って、鉛筆やペンを持つように、腕を机につけて固定もしない。
     それを筆を持ったこともない人に、どう教えたらいいか。
     それで、習字に使う、縦棒、横棒、はらいなど、それぞれの線だけを教える、という方法を考えました。

     おもしろいですね。やったこともない人に、自分が当たり前にやってきたことを教えるって。
     いろんな新しい発見があるんですよ。
     なんでああいう風に筆を持つんだろう。なんでああいう線になるんだろう。なんで太い線が引けないんだろう。
     相手ができないことを見て初めて、相手の動きの間違いもわかるけど、同時に自分が何を習ったのかがわかるんですよね。

     でもね、お習字を習ってた頃、手取り足取り教えてもらいました? 私、そんな覚えがないんです。
     全く初めての練習の時はともかく、そのあとは、先生に朱書きで直してもらって、あとは、どうやったら
     そういう線になるか、自分で何度も練習しながら、その形の線が書けるように自分の体で覚えていくんですよね。
     自転車の練習と似てる。だから、長い間お習字をしていなくても、けっこう体が覚えているのかな。

     初めてのレッスンのときにね、彼にこういうことを聞かれました。
     「君はこの毛筆の動きを、絵で使っていると思う? どういうときに使ってるの?」って。
     そんなの、全然意識してない。無意識で使ってるのかもしれないけど、もしかしたら、毛筆じゃない時は
     使っていないのかもしれない。
     毛筆の動きも自分の体の動きの一部だから、そんな分けて考えないものね。

     それからこんなことも聞かれました。「君はそんなに長い間習字を習ってるって、何をやることがあるの?」
     はじめ、何を聞かれてるか、よくわからなかったんですよ。039.gif
     だから、今教えてる線は基本の楷書の線なので、「時代や人によっていろんなスタイルがあるから、そういうのを
     習うんだよ」って答えたんです。

     でもね、後で考えてみたら、彼はアルファベットしか使ったことがない人。
     アルファベットの画数って、漢字に比べたらずっと少ない。しかもアルファベットって、日本語みたいに
     同じ大きさのマスに一文字ずつ書くって考え方もないんですよね!そう気がついて、目から鱗でしたよ。005.gif
     だから、画数が多い字をきれいに書くのは大変とか、画数の違ったいくつかの字のバランスをとって書くのは
     大変とかいう体験もない。それにイタリアでは、日本のように小学校から「書き方」「書道」のような授業は
     ないから、彼はそういうことを考えたことがないんですよね。
     カリグラフィーはアルファベットの国でもありますけど、それは子どものころから授業で習うものじゃない。
     逆にいえば、私たちは小さい頃から、そういうことを教えられ覚えてきたんですよね。だからそれを今では、
     当たり前のように自然に考えてる。

     ここでは当たり前に大学前に習うことを日本では習わなくて、(ここの大学の)授業についていくために
     必死に勉強しなければいけないこともあったけど、その逆に、日本で育った私には当たり前に考えてること、
     身についていることがここにはなくて、それを見てあらためてこんなふうに、日本で自分が習ってきたことを
     知るっていうこともあるんですよね。
     そういうとき、日本って国や文化をあらためて知るようで、とってもおもしろいです。

     私の友人が、東洋美術の本を見せてくれていた時、それをのぞいていた彼があとで言いました。
     「君たちの絵って、字でも絵でも、筆の動かし方は一緒なんだね」って。
     毛筆を使ったことがない彼が、絵の勉強のために毛筆の使い方を習い始めた。でも私は、字を書く時の線を使って、
     毛筆の動き、筆力のかけ方などを教え始めた。彼にはそれがピンときてなかったんでしょうね。
     それで、東洋美術の本に載っていた、絵の横に画家のサインや俳句、詩が並べて書かれた掛け軸などの絵を見て、
     毛筆で絵を描くのも字を書くのも同じことなんだって、実感できたんでしょうね。045.gif
     彼は漢字を知らない。掛け軸に書かれた文字も絵のような形に近く感じるでしょうから、よけいにそう感じられた
     のかもしれません。
     彼は彼で、今まで考えたことなかったこと、知らなかったことに、このレッスンで出会うんでしょうね。

     自分が知っていることを、それをまったく知らない人に教えるって、相手も知らないことを知るのだけど、
     こちらもいろいろ発見があっておもしろいです。
     自分が当たり前に思って無意識にやってきたことを、あらためて別の方向から見て、何が当たり前だったか
     知るいいチャンス。
     毛筆レッスンはあと4、5回。今後、私はどんなことを発見するのかな。楽しみです。001.gif
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by sakanatowani | 2013-11-24 22:05 | ひびのこと diary | Comments(6)
Commented by tomshore at 2013-11-24 23:02 x
ほんと、自分であたりまえとおもっていたことを人におしえるのって難しい、でも面白くもあるよね。
次の発見の報告、楽しみにしています♪
昔、イギリスの小学校で子供達に習字で日本の文字をかかせるなんてことをやったこともあるんだけど…私はちゃんと習字ってならったことなくて(学校でやっただけ)
筆の使い方とかそういうことはおしえてあげられなくて…ただ真似して描かせるだけになっちゃったんだよよね。今更ながら、悪かったなあ〜〜って思ってます。
Commented by sakanatowani at 2013-11-25 01:15 x
tomさん、こんばんわ。あ、でも、そちらはそろそろ、おはよう、だね♪
自分では、教えてあげられなくってって思ってても、それって相手には、今まで知らなかったこと、いっぱい伝えられてたと思うよ。
私たちには当たり前すぎること、基本的すぎてちゃんと言わないことでも、相手には十分、初めて知った、初めて考えたってことだと思う。
tomさんが教えてあげたこたちにとっては、十分刺激的で、忘れられない体験、思い出になってると思うよ〜。
ちゃんと習字習ったことないって言っても、「の」の字、筆でふつうに書けるでしょ? あれ、ちゃんと指の中で筆を回転させるようにしないと、ただ筆がねじれちゃって、ちゃんと書けないんだよ〜。
そんな技、実は知らないうちに、私たちはやってるのだ(笑)
ってことを、何も知らない人に教えながら、自分はあらためて発見していくのかな。
Commented by Saori at 2013-11-25 21:23 x
こんにちは、お習字とかお茶とかお花とか日本の文化を外国の人に教えるってとても難しいですよね。それをされてるなんて、さかなさんすごーいって感動しています。
お友達、お教室で得るものがたくさんあるといいですね。

Dr.Whoの番組ご覧になったんですねー!面白かったですよね、新・ドクターもちょこっと出てきたりして^^
あのジョン・ハートは何代目Drか、って言う話題になって、私は初代Drの前、つまりオリジナルのDrなんだと思ってたんですが、夫は途中のどっかのDr.だ、と言ってました。あのドラマの後英国では生放送でDr.Whoパーティがあったんですが、その中で歴代Drの紹介、と言うことで流されたVTRでジョン・ハートは8代目と9代目の間に紹介されてました。夫が正解だったので、ちょっと面白くない私です(笑)
確かDrは13回か14回しか生まれ変われない事になってるんですが、そろそろ限界が近づいてきて、、、どうするんだろー?って気になってます^^
Commented by starofay at 2013-11-26 05:20
私も小学生の頃2年くらいお習字習ってました。
漢字を書く人にとって一度はちゃんと習うと良いものですよね。
絵もコテとなるものなしに腕を動かすストロークの場合、えいやっとイメージ通りに自分の腕を信頼して描くのかしら? その場合使うのは、右脳?とか考えると面白いです。
Commented by sakanatowani at 2013-11-26 16:01 x
Saoriさん、おはようございます♪
習字を学校で習った人、つまり日本人ならみんな、外国の人にお習字を教えられると思いますよ。教えてみて初めて、自分がこんなにいろんなことを習って来たのかって知るっていうか。私にはそれが新鮮で楽しいです。
え、Drって、13回か14回しか生まれ変われないんですか?! 知らなかった〜!
だって、ジョン・ハートの役が今回のエピソードでDrと呼ばれるようになって、新シリーズからのDrで14代目になっちゃいますよね!(ドラマ中で、タイム・ロードの官僚?が、「ああ、Dr.が12人!いや13人だ!」って言ってたけど、14人ですよね。気になっちゃって。新Dr.も目のどアップで出てましたよね)どうなるんだろ〜!
Dr.Whoパーティ!おお、それは楽しそう!
私、ジョン・ハートのDrは、9代目と10代目の間だと思ってました。旧シリーズと新シリーズの間は、DrがDrの名前を使っていなかった闇の時代、みたいな設定なのかと。
新シリーズが楽しみですね〜。
Commented by sakanatowani at 2013-11-26 16:09 x
かおりさん、おはよう♪
お習字、一度は習っておくといいですよね。書くこともそうだし、あの紙を前にした時の気持ち、お習字で身につけた気がします。
えでも、大きな動きの時は、無意識にお習字でやって来た動きになってるんだと思う。もうこういうのは考えてやるものではないよね。
私はふだんから右脳しか使っていないというか、左脳は全然機能してない気がするの(笑)
こうやって文を書く時も、イメージを文字に変換するのがけっこう大変。「文字に変換」って思ってる時点で、もう右脳人間なんだなあと思うのです。
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