オレンジ戦争・イヴレアのカーニヴァル
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     古いメモリーカードを見てみたら、こんな写真が出てきました。
     イヴレアのカーニヴァル。通称オレンジ戦争です。
     今年のカーニヴァルは先週終わってしまいましたが、せっかくだし、自分の備忘録としてもご紹介〜。

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     もう5、6年前でしょうか。トリノの北東にあるイヴレアという町に住む当時の同級生に、カーニヴァルのお祭りに
     さそわれました。

     カーニヴァルといえば、イエスさまの復活をお祝いするパスクワ(イースター)の前の46日間の四旬節の直前のお祭り。
     四旬節中は肉食や飲酒を避ける習慣があるため(今ではその習慣も重要視しない人も多くいますが)、
     その前に思う存分どんちゃん騒ぎの祝宴を、というのがカーニヴァルだといわれています。

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これがこの地区の山車。戦いでは上に侯爵側の武装した人たちが乗ります。

     ところがイヴレアのカーニヴァルは、これに、専制政治に対して戦った中世の市民戦争を再現する要素もプラス。

     16世紀頃、当時、イヴレアを含めた地域をおさめていたモンフェッラート侯爵は専制政治を行い、
     新婚の花嫁の初夜を自分とともにすることを強制していました。どこにでも同じような話ってあるんですね(汗)
     しかし、粉屋の娘ヴィオレッタはこれを拒否。侯爵の寝床で、彼の首を切り落としました。

     これを発端に、専制政治に対する市民の反乱が起こり、それがフランスか革命やナポレオンと結びついて、
     今の形になったのが1800年のはじめとか。

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これは他の地区の山車。町の中の地区ごとに、それぞれの紋章やそれがついた旗があります。

     「でもなんでオレンジなの? 北イタリアではオレンジなんてとれないでしょう?」という私の質問に
     「知らないよ。でもオレンジが粉屋の娘が切った侯爵の頭っていう話だよ」と同級生。

     ともかく、この日は年に1回、この小さな町が、地区ごとに競い、観光客であふれる、戦いの場になるのです。

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なぜバグパイプの人たちが?! 手前で観ている人たち、みんな赤いものをつけてるでしょう?それが安全の秘密。

     町のあちこちに戦いの場が設けられ、そこで侯爵側が乗った山車に向けて、市民を模した各地区の人々が、ものすごい量の
     オレンジを投げるのです。

戦い、開始!

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     この戦いに参加するには、あらかじめチームを組んで届け出が必要。
     町の各地区ごとに組が分かれていて、山車をつくり、チームを作り、山車やアランチェーリ(aranceri)と呼ばれる
     オレンジ投げの市民は、このお祭りの最後に表彰されるのです。

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とにかく人、人、人、人・・・。観客と広場の間に、オレンジよけの網が見えるかな。

     オレンジがバンバン投げられるのですから、あたったらものすごく痛いし、オレンジがつぶれた汁が飛ぶわ
     つぶれたオレンジがあちこちに飛び散るわで、ものすごい状態。

     戦いの場の広場のまわりには網がはられているので、その中に入らなければ安全。
     でも道ばたでも興奮した若者たちがオレンジを投げ始めるので、観光も大変です。

     攻撃にあわないためには、「味方=市民側」の印の赤いものを身につけておかなければいけません。
     写真の中で、赤い帽子をかぶっている人は、たぶんイヴレアの人。
     毎年のことだから、赤いものはこの日のためにあるのでしょう。

     ちなみに私は、同級生が貸してくれた、赤いはちまきを頭に。

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戦いに備える市民側のチーム。もちろんこちらも、赤いものを身につけています。

     ものすごい人があふれている中、町を知っている同級生についていくのが精一杯。

     嵐のような戦いの広場をすぎて、しばらくすると、中世の衣装を着た人たちのパレードが。

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これは粉屋さん、らしい。

     これらの人たちの衣装も、粉屋だったり、新婚の娘だったりと、その昔話に由来しているらしいのですが、
     よくわからないまま。

     「歴史的な意味なんてよく知らない。でもこの日はこういう戦いの日なんだ!」と笑う同級生の説明を、
     まだ当時イタリア語もあやふやだった私が聞いたこのカルネヴァーレ。

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     とにかくすっごい混雑と興奮の渦で、「私たちも投げたーい!」と一緒に行った友人と言い合ったんでしたっけ(笑)

     そんな、イヴレアのカルネヴァーレのオレンジ戦争観戦でした。

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     今年の私のカルネヴァーレ。
     道ばたに落ちているコリアンドロ(coriandolo)と呼ばれる紙吹雪を時々見ては、「仮装した子どもたちが通ったんだなあ」
     と思いつつ、ブジーエ(bugie)をモリモリ食べて、あっという間に終わってしまいました。





     
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by sakanatowani | 2013-02-19 22:02 | 季節のこと season's | Comments(8)
Commented by tomshore2 at 2013-02-19 22:21
オレンジを投げ合う戦争なんだね。面白ーい。
公爵の首を切った粉屋の娘さん。なんて勇ましいというか(笑)
昔なにかでトマトを投げ合うのをよんだことあったけれど
あれはどこの戦争だったんだろ。
こういうヨーロッパのカーニバル、一度見に行ってみたいな。
Commented by sakanatowani at 2013-02-19 23:02 x
tomさん、はや〜い!!
そうだよね、粉屋の娘さん、勇ましい!!
そりゃ結婚したのに侯爵のとこ行くなんて嫌だけどさ、でも怖くて逃げるか、行っちゃったらもう覚悟するか・・・だよね、ふつう(笑)
トマトを投げ合うのは、たしかスペインだったんじゃないかな。
オレンジ戦争。おもしろいよ!
でもものすごく激しいからね、赤いものを巻いてかないと!
あれ当たったらさ、ものすごい衝撃だろうね〜!
私も他の国のカーニバル、観に行きたいなあ。
Commented by ydonnadieu at 2013-02-20 02:03
こんにちは。オレンジの投げ合い、凄いですね。被害に遭うと大変でしょうけど、付近はつぶれたり、割れたオレンジの香りが充満しているのでは?映像と嗅覚のギャップがすごいかも?
それにしても、ブージエ、いいですね〜。いろいろなフレーバーも是非試してみたいです。羨ましい!
Commented by starofay at 2013-02-20 07:46
すごく面白い!
先日、塩野七生さんのメディチ家の暴君が出てくる小説を読み終えたばかりだからなおさらおもしろいわ。
お祭りの後の街のお掃除が大変そう。笑
Commented by moonisup at 2013-02-20 08:24
人々の衣装がとても素敵だね。
三社祭とは違うね(笑)
:->
Commented by sakanatowani at 2013-02-20 17:19
ゆうこさん、おはようございます♪
オレンジの投げ合い、すごい迫力ですよ。
戦いの広場の足下は、潰れたオレンジでいっぱいです。
でもそういえば、オレンジの香りの記憶がないんですよ。どうしてかなあ。
人込みをかき分けるのに必死だったからかも(笑)
ブジーエ、昨日、パン屋さんをいくつかのぞいてみましたが、もうありませんでした。残念。カーニヴァルは終わってしまったのですね〜。
Commented by sakanatowani at 2013-02-20 17:21
かおりさん、おはよう♪
ふふふ、メディチ家暴君の世界に浸りながらこのオレンジ戦争を見るのは、また一段と臨場感ありそう!
いやいや、ほんと、この後の町のお掃除は大変でしょうね〜!
Commented by sakanatowani at 2013-02-20 17:32
moonisupさん、おはよう♪
衣装、けっこうおもしろいよね。
市松模様のが、なんだかはっぴみたいだなあと思ってたの。
勢いが、三社祭とか、日本の激しいお祭りに似てるなあと思ってたけど、そうだよね、違うよね。こっちのは戦いだもんねえ。
でもよく考えたら、御神輿の「神様を連れて練り歩いちゃう」っていうのは、ものすごい秀逸な発想だよねえ。神様を楽しませちゃおうなんてさ。
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