クリスマスの思い出3
     毎年クリスマスが来て、みんなが家族と過ごす雰囲気を横目で見ながら、大晦日になると「さあ、お正月だ」
     って日本モードがぐっと入る。
     なのにまわりは花火をあげ、パネットーネにスプマンテの年越しパーティにワクワク出かけ、私は花火の音を
     聞きながら静かに年越し、そして元旦に小さなお節もどきをつくっている時、まわりは明け方まで騒いでいた
     のでみんな寝ていて街は静か。
     そんなまわりとちょっとずれた感覚でおもしろいな〜と思いながら、いつもこの時期を過ごしています。
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     もともとクリスマスは「家族の行事」なので、行事やメニューはその家族の出身地によって違います。
     またトリノは、70年代にここを拠点とする大自動車産業の発達のため、南イタリアからの労働者が多く
     集まった街。
     その人たちがここに住み続け、それぞれの出身地の習慣を守って生活しているので、クリスマスのいちばんの
     ごちそうを食べる日が25日の昼の家族もあれば夜の家族もあり。
     またパートナーの家族へのおよばれもありますから、それが26日の昼だったり夜になったりと、
     クリスマス前はそのスケジュールの調整に忙しそう。

     基本的に24日は肉食を断つ意味で魚を食べ、25、26日はごちそうというところが多いようですが、
     南の方ではクリスマス当日も魚を食べるところも多いそう。
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     プリモで食べるパスタも、日本のお雑煮が各地で違うように、その家族の出身地よって違います。
     ペルージャあたりでは、トルテッリーニというラビオリの一種をブロード(具なしスープ)に入れたもの。
     ここトリノでは、トリノ方言でタヤリンとよばれるタリアテッレ(幅3〜4㎜の細めのきしめんタイプのパスタ)
     や、小指の指先ほどの小さなラビオリ・アル・プリンが食べられます。
     このラビオリ・アル・プリン。その昔は、前日の肉のローストや冬のこの地方の定番メニューである茹で肉の
     残りを詰めてつくられていたもの。
     数年前に居候させていただいていたお家では、クリスマスの数週間前から、おばあちゃんがひとりでこの
     ラビオリ・アル・プリンを手作りするのを、毎週日曜日に孫がお手伝いにいって、クリスマスを当日までに
     10数人分を準備していました。

     イタリアに住んで家庭のイタリア料理を知れば知るほど、イタリア料理というのは、世界で絶賛されている
     レストランで食べられる料理とは全く違う、農家や狩人、漁師さんたちがけっして楽ではないふだんの生活の
     中で食べられていたもの、クリスマスなどの行事のたびに工夫してできるだけの料理を家族みんなで味わった
     ものが、今でも食卓に並んでいるんだなあということを思います。
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     けれど、それがたくさん集まればすごいもの。
     いちばんメニューが多かったのが、トリノに来て初めての年イラストの学校の同級生の家に招かれた
     クリスマスの昼食。
     親戚一同50人ぐらいが集まって、それぞれの家庭のお母さんが、2、3品を持ち寄る大昼食会でした。
     「特別な日用の食器が足りなくってね。みんなで電話しあって、各家のものをかき集めたのよ!
     いや〜、もう足りるかなってハラハラしたわ!」と、お母さんのひとりが笑っていました。

     セッティングされたテーブルには、きちんとプリントされた「今日のメニュー」。
     それぞれが「これはおかわりしよう」「これはパスだな」と、メニューを見ながらワイワイ話しています。
     そう、パスってありなんですよ。
     次々と出てくるから、自分のお腹にあわせて、何品かはパスをするわけです。

     「ねえ、さかなはどうする?せっかくだから、イタリアのクリスマスの味を全部味見しなくちゃね?」って
     ニヤッと笑って聞かれて、「そうね、全部を食べてみたいから、全部を少しずつ!」と宣言(笑)
     クラスメートを含む若者たちが「うえ〜」と言って全員パスした「うなぎ」もうなぎはふだん食べないんじゃないかな
     「私は日本人だからこれは食べてみないとね!」って言って、それをつくったお母さんを喜ばせました^^

     ここら辺ではクリスマスにうなぎを食べるんですよ。
     先日のぞいた市場の水槽にも、生きたうなぎがにょろにょろ動いてました。
     この日にいただいたうなぎは、10㎝弱のぶつ切り(!)で、さっと塩でソテーしてあるぐらいだったのかな。
     味が濃厚だったという記憶がないので。いや、何よりも、生まれて初めて食べる「ぶつ切りのうなぎ」の
     印象の方が大きくって(笑)
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     そして「たくさん食べた!お腹がはち切れた!」っていう思い出は、なんといっても4年前におよばれした
     美大の同級生のお家のクリスマス!
     おばあちゃんのお家の小さくとも気持ちのいいダイニングキッチンに、親戚20名ぐらいが集まって、
     ながーい木のテーブルにみんなでぎゅうぎゅうになって座ります。
     そして、食べる、食べる、飲む、喋る、喋る、食べる、食べる・・・

     ここでも私は「ひとくちだけ。でも全部」をモットーに食べましたよ〜。
     ひとくちずつでも、メニューが多ければお腹にはどんどんたまります。
     そして最後に出てくるのが、パネットーネとパンドーロ。

     このころには、お腹はいっぱいでもう苦しいし、途中で「休憩」組はテーブルの隅でカード遊びを始めてる
     しっていう頃。
     その時に、バターたっぷりの炭水化物のデザートは、もう!!
     しかしこのお家では、パンドーロに自家製クリームを添えるのです。
     しかも3種類!
     ザバイヨーネ(お酒の入ったカスタードクリームのようなもの)、チョコレートクリーム、と、
     なんだったかな?お腹がいっぱいで頭に血がまわらず、記憶にありません^^;
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     この昼食が終わったのが、もうすでに5時頃。でもその数時間後、「夕食よ〜」って^^;
     食べてる人いるんですよね〜。すごいよ!

     でもこの昼食や夕食の間にも、交代制の仕事をする人は仕事に出かけていったりするわけです。
     で、仕事から戻ってきてまた食べる、と。
     途中でいとこやまたいとこという人がクリスマスの挨拶に寄って食べていくこともあるし。
     こうやってみんなが近くに住んでいて、その親戚や家族と過ごすのが、ここでのクリスマスなんですね。
     本当に、こちらのクリスマスは日本のお正月みたいだなと感じます。

     翌日26日は、お母さんの車に乗って近郊のシネマコンプレックスで映画を見て、夕食に中華を食べて
     帰りました。
     お客さんだけどお客さんじゃない、もっと受け入れられてる感じがする、いちばん幸せなクリスマスの
     思い出です。

     だから別の街に住む日本人の子に、クリスマスにけっこうおよばれしてるよって言ったらびっくりされました。
     「クリスマスは家族だけのプライベートなものだから、(その家の人の)恋人でもないのによばれるなんて、
     考えられない!」って。
     でもクリスマスに招いてくれたお家とは、その後いつもプツンと連絡が途絶えてしまいます。私は「これを機会に仲良くなれたらな」と
       思っているのに。なんでだろう?おつきあいにはまだまだ謎が多いです。

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     さて、今年の私のクリスマスは、お家でひとり。
     ふつうは大晦日のメニューである(クリスマスに食べるところもあるけど)、コテキーノを食べました。
     コテキーノは豚肉やラード、皮などをひいたソーセージ。似たようなもので、豚の足に詰めたザンポーネも、
     同様に大晦日のメニュー。
     これらにレンズ豆の似たものを添えて、来る年の金運がよくなりますようにと願うのです。
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右がザンポーネ(スーパーのチラシの写真ですけど)。ね、豚足そのままの形でしょ^^

     脂っこいからって嫌う人も多いコテキーノやザンポーネだけど、縁起物だからね、私は食べますよ^^
     それに、脂も多いけどゼラチン質も多いはず。
     ひとりで全部はいっぺんに食べられないので(2切れぐらいで十分)、今も数切れが冷凍庫に眠っています。
     これにじゃがいものプレ(マッシュポテト)とフィノッキオ(ういきょう)とオレンジのサラダを添えて。

     それから、これは家に人がいない時にゆっくりつくってみたかったもの。バッカラ・マンテカート。
     塩漬けタラを戻して茹でてほぐしたものにニンニクをあわせ、オリーブオイルを少しずつ入れて混ぜ乳化させた
     ペーストで、パンに乗せていただきます。
     ヴェネツィアのお料理なので、旅行された時に食べたことがある人もいらっしゃるのでは?
     「バッカラ・マンテカート」で検索すると、日本語のレシピもいくつか出てきますよ

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     もうひとつ、クリスマス用に使ったのはブネッ(bunet eの上にアクセント)
     これはトリノのあるピエモンテ州のお菓子で、チョコレートとアマレッティ(アーモンドの粉を入れたビスケッ
     ト。日本のマコロンのようなお菓子)のプディングで、カラメルソースをかけたもの。
     濃厚なチョコレートの奥に、アマレッティのアーモンドの風味がして、そこにカラメルソースの苦味がからむ、
     チョコレート好きにはたまらないお菓子です。

     クリスマス前から少しずつ、ストレス解消と称して、食べたいものを片っ端から料理して楽しんだ暮れと
     お正月でした^^ あ〜、おなかいっぱい!
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by sakanatowani | 2012-01-06 07:05 | 季節のこと season's
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