先日の記事で、「ここらでちょっと、気持ちの余裕を取り戻したいな」なんて書いてたのに、
とんでもない慌ただしいことに巻き込まれて過ごしていました。 同居人探しです。 今のアパートは4K+広めのエントランスの4人用。 このうち2部屋が空いたので、同居人を募集することになったのです。 今まで何件のアパートに住んだのかな。数えてみたら、8年間で10件。ひどい時には1年間に4回も家を変わったことも^^; いつも私は最後のひと部屋に入る人で、今まで自分が同居人探しに加わったことがありません。 本当は空室のうちのひと部屋は、9月から空いたまま。なのに同居人Rはダラダラと募集をかけず、9月の末日に もうひとりが出ていくとなって、やっと動く気になったよう。 たいていは、店子はアパート全体の家賃を毎月大家に払わないといけないのだけど、ここは各自が自室分を払っていればいいようです。 正式な契約書のない闇賃貸だからかな。 先週の木曜日の夜中、同居人や店子募集のサイトに「同居人の女性2人を探しています云々。電話は17時以降に」 とメッセージをおいたところ、金曜日の夕方から、じゃんじゃん電話がなりっぱなし。 しかも、きちんと電話をかけてくる人がいない! 名前も名乗らない、横柄な態度、部屋を見るアポをとったらすぐに(電話を)切ろうとするから名前を聞くと、 「はぁ〜?」とまるでこっちが失礼なことを聞いたかのような不機嫌な返事・・・。 まともに電話をかけられる人はいないんだろうか?これがここではふつうなのか?と、自分の常識の方を 疑ってしまうほど、みんなとっても失礼。 私はもともと電話が好きではないので、もうこの電話攻撃がストレスでストレスで・・・。 21時過ぎには実は携帯の電源を切ってしまったのです。 寝る前に携帯の目覚ましをかけるべく電源を入れると、20件ほどの着信メッセージが、ちゃりらりら〜ん、 ちゃりらりら〜んと着信音とともに表示され、その音がまたストレス・・・。 しかも最後の電話は、なんと夜中の12時!非常識すぎるぅ〜!! しかもその晩は、出ていく同居人の引っ越し日で、その子は自分の被害妄想から「あの大家は敷金を返さないに 違いない〜!!」と、ヒステリックに電話であちこちに怒鳴りまくってる始末。 その腹いせなのか、この家のキッチンタオルをすべて持っていってしまいました・・・ あまりのストレスに、夜勤のバイトに出ていていない同居人Rに「失礼な電話ばっかりでたまらない! 電話は20時までにしてって、募集記事につけくわけて、お願い!」と、彼の部屋に置き手紙を。 夜中にバイトを終えたRが携帯の電源を入れたところ、80件の着信メッセージがあったそう・・・ 恐るべし、ネット募集・・・。 大学は9月半ばから始まるので、夏休み前か、バカンスシーズンが終わる8月半ばから9月の始めまでが 部屋探しのピーク。この時期ではもう遅すぎでしょう。だからみんな必死なんだよね。 昨年の今ごろは私もそのひとりで、結局部屋が見つからず、見かねた私を友人の家族が今年の2月まで 居候として受け入れてくれたのです。 だからみんなの必死さもわかる。 でも、最低限の礼儀はわきまえてほしい。こんな人だったら一緒には暮らせない。 そんな考えで鬱々しながら、土曜日の仕事を終えて(朝から電話が鳴りっぱなしだからもちろん携帯は切って)、 毎度のごとく疲労でゾンビ状態。家に帰ってバタンキュー。いつもの2時間の爆睡を・・・と思ったら、 同居人Rが部屋をノックする。 「部屋を見にきた子がいるから」 ああ・・・ 結局、土曜日は8人、日曜日は11人に会ったかな。 Rはいつも、部屋を見にきた人全員にまず会ってみる。それから、気があいそうな人をアパートに住んでいる人 全員で選ぶという主義。 たいていのアパートは「早く来た人から部屋を得る」という方法だけど、私がこの1月末に連絡をした時は隣町に 住んでいて、しかも雪とバスのストですぐに部屋を見に行けない状態だったから、Rのこの方法は、ありがたかっ た。それに、その時住んでいる人全員が未来の同居人候補に会うという方法も、公平でいいなって思いました。 部屋を見に来た人たちに、部屋の説明をし、その人が何をしているのかとかおしゃべりしながらその人柄を 見ていくわけだけど、Rは口がうまいこと、うまいこと! 私には明かに嘘とわかることも、まるでそれが本当の理由かのようにスラスラと、話す話す。 もともとRの小さな嘘つきぶりには気づいていましたが、今回ばかりは、この人がいるから見学者の説明が スムーズにできてよかったな〜って、つくづく思いました(笑) 彼は最初の電話のアポ取りの時から、感じが悪い人にはのらりくらりと話をかわして、アポを取らないことに してたんだって。 なるほど〜!そうだよね、嫌な人と会っても断るだけだから、お互いの時間の節約にもなる。 でもね、自分が部屋探しに苦労してきたから、ついつい断れないんだよね。こういうとこが弱い私。 結局、初日に会った人のうち、私がいいなって思った子はRがあまり好きになれず、彼がいいなって思った子は 私は絶対嫌だ!って思った子^^; 翌日は、アポの時に「女の子2人なんだけど、イタリア語を話せないから」って男の子が電話をかけてきて 無理矢理アポをとった人たちが、実は女の子はイタリア語は話せるのに、私の同情をかって部屋を得るために 男友達が嘘をついて電話をかけてきたことが判明。しかもそれぞれの女の子の彼氏が偵察のためについて来て、 Rが男性だと知るやいなや彼氏はムッとし、ちゃんと挨拶もしないでドヤドヤと出ていってしまうという わけがわからない人たちだったりして、なんだか混乱。 でも結局、私もRもいいなって思った子が3人もいました。 3人・・・いいなって思わせるほどの感じがいい人なのに、1人は断らなくちゃいけない・・・誰を? 本当に2人で悩みました。30分ほどベランダでですけど。 結局は、エラスムスというヨーロッパの国の間での交換留学制度で、来年の6月末までしかいないという子を 断ることに。7、8月のバカンスシーズンに同居人を探すのはほとんど無理なので、(大家のことを考えて) その間も家賃を払える人を、というわけです。 じゃあ、どう断る? 私が「来た人たちには、選ぶにしろ選ばないにしろ連絡するって言ったんだから、正直に、 『他の人を選ぶことになりました。ごめんなさい』でいいんじゃない?」というと、Rは「そんな非情なこと!」 と言うのです。もっと何かいい言い訳をつくり出せと言うのです。 おもしろいなあと思いました。 日本では、嘘をつくことは悪いこと、恥ずべきこととしつけられますが、イタリアでは、言い訳に嘘をつく なんて日常茶飯事。良心の痛みなんかありません。 この場合、正直に言うのは非情で、嘘を言うのがいいと言うわけです。 私は見え透いた嘘をつかれるよりは、正直に言われたほうがいいけど。そう言われてもきたしね。 どんな言い方したって、結局「選ばれなかった」ってわかるものじゃない?と思っちゃうんだけど。 もちろん言い訳はRにつくってもらいましたよ。こればかりは彼もスラスラとはできないようでしたが。 いい感じだったけど断らなくてはいけない子には、「君はとっても感じがよかったんだけど、大家がどうしても 夏休みまでいる人じゃないとだめだと言うんだ。ごめんなさい」という言い訳を。他人のせいにすれば解決するんだ〜 彼は気に入らなかったけど私は気に入った子には、「君はとっても感じがよかったんだけど、どうしても エラスムスで来てる子を受け入れなくちゃいけなくなったんだ。ごめんなさい」。 えっと〜、私たち、エラスムスの子を断るんだよね。でも別の子には言い訳に使うの?という私に彼は 「いいんだよ、それで」とあっさり。 む〜。私には、こういうことの方が良心がとがめます。 ここでのポイントは、「(君は)感じがいい人だと思った」という言葉。 これって、イタリアではとっても重要視される言葉なのです。 お断りのメッセージを書きながら、「ああ〜、嘘書くなんて良心の呵責を感じる〜。あのね、日本では『嘘を つくと閻魔様に地獄で舌を抜かれる』ってしつけられるんだよ」と言ったら、彼は目を丸くして大笑い。 「すげ〜!舌抜かれるって!?」って。 「正直に『他の子にしたの』って書いちゃダメ?」って聞くと、ものすごく真面目な顔で「それは絶対ダメ。 ひどすぎる。君が舌を抜かれてもいいから、言い訳を書け。嘘も方便って言うじゃないか」って。 たぶん「他の人を選んだ」って、自分が言うのは嫌なんだよね。それで他人のせいにするのがいいってわけだ。 さて、「嘘も方便」と私は勝手に訳しましたが、本当はRはなんと言ったでしょう。 Bugia bianca(ブジア ビアンカ)。直訳すると白い嘘 へ〜、そう言うんだ〜!! 嘘も方便っていうより、罪のない嘘って感じなのかな。 じゃあ、彼らのついてはいけない嘘って何?ものすごいことの気がする〜^^; 日々、イタリア人の嘘つきぶりにはびっくりしていましたが、日本人の正直(ビジネスライク)なやり方は、 イタリア人にとっては、冷たい非情なやり方に見えるのかも。 でもね、このR、感じ悪かった人には、返事も返さなくていいって言うんです。 返事はせめて返すべきでしょ〜。つっけんどんな言い方でも。それが礼儀じゃないのかなあ。気があわなそうでも、 相手は必死に部屋を探してるんだろうから、結果を早く知って、次を探したいんじゃないのかな。 そう言う私にRは「向こうだって、言わなくても他を探してるんだから。返事がなくても気にしないよ」と言う。 なんかこの点に関しては、Rの方が非情、ばっさり切ってるって感じ。 よくわかんないな〜、この感覚。 今回の感じ方の違いは、まさに文化の違いなんだな〜と、おもしろかったです。 そんなわけで、決まりました新しい同居人2人。 実はそのうちのひとりは連絡してすぐに、もう荷物を持って引っ越してきました(笑) 昨日ボローニャから引っ越し荷物とともに来て、修道院の宿泊施設に泊まってたそうなんですが、 宿泊費が高いので、すぐ引っ越しすることにしたそう。 私がこれを書いている今、彼女はもうすでに部屋をかたづけて寝ています。 イタリアに小さい頃に来たというハンガリー人の女の人で、心理学のマスターコースが明日から始まるそう。 明るくて、Rも私も「なんだか自然な気持ちで話せる人だね」って思った彼女。 もうひとりの新たな同居人も、数日のうちに引っ越してくるでしょう。 それぞれ完全に生活時間帯が違うので顔をあわすことも少なくて、お互いに迷惑をかけないように、それぞれが それぞれの生活を独立してしているからうまくいっている感じのこのアパート。 さあ、これからどんな雰囲気になるのかな。 穏やかな気持ちで、みんなと気持ちよく過ごせるといいなと思います。
by sakanatowani
| 2011-10-03 19:45
| ひびのこと diary
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