その後のセキュリティー・チェックでは、うっかり水のペットボトルを鞄に入れたまま通り、空港の係の人に
ギロッとにらまれたりもあったものの、6年ぶりの飛行機旅行に浮かれた私はるんるんるん♪ さっさとパスポートチェックを済ませようと、免税店もかえりみず、ずんずんと進んでいくと・・・ あれ?もう搭乗口?出国のときって、なんにもないんだっけ? 実はこの時(今もだけど)、私は1年に1回の滞在許可証の延長手続き中。書類を提出して、あとは新しい 滞在許可証の受け取り待ちですよ、という支払い証明書を期限が切れた滞在許可証とともに持っているだけ。 だからちょっとドキドキだったのだ。 だって、この期間に出国していいとかいけないとか、聞く人によって(移民局でも)違うんだもの。 ともあれ、搭乗口で本を読みながら待つこと1時間。ボーディングのアナウンスが。 見るとみんな、ここでパスポートも見せています。へ〜、そうだっけ? 登場の案内をしているのは、さっきのチェックイン・カウンターの女性。 チェックインも登場手続きもひとりでやるのか〜、大変ね〜と思いながら、飛行場内のバスに乗り込み、 いよいよ飛行機だ〜。 バスから見るいろいろな飛行機。格安エア・ラインができてから、見たことない飛行機ばかりになったな〜。 あ、ちっちゃな飛行機。 と思ったら、それが私の乗る飛行機、LOT(ポーランド航空)318便、70人乗りでした。 ミラノからポーランドまでの飛行時間は2時間5分。離陸が10時50分だから、お昼ごはんぐらいは出るかな〜 と待っていると・・・出てきた。パニーノが・・・。 機内食好きの私にとって、この写真を撮るのも楽しみのひとつなのだが、今回は撮らないことに。 パニーノか〜・・・飛行時間2時間ったって、実質1時間半ぐらいだもんな〜。 ミラノから北に向かう飛行機から眺めるアルプスの眺めは大好き。 雪をかぶったアルプスの山は、あの街でひとりで辛い時に、私に元気をくれるもの。いつもは地上から (側面を)眺めている山々を、上空から眺められるのも、北行きの飛行機の楽しみだ。 だけどこの日はもうすでに雪も少なくなってしまっていて、ちょっとがっかり。 でも(イタリアとスイスにまたがる)マッジョーレ湖がきれいだなあ。 いつの間にか眠ってしまったらしい。ふと目がさめると、窓の外はもうポーランド! 私の初めてみるポーランドは、グネグネと大きく曲がりくねった河、たくさんの小さな湿地帯、 それをうめるように林、森がもくもくと続く、緑、緑の大地。平らだ。どこまでも。 きれいだ〜。私、この国が好きになるな〜。 そんなことを思いながら、私の初ポーランド、ワルシャワに到着した。 空港内へ。さあ、今度こそ、パスポートチェックだ、と進んでいくと、すでにラゲージ・カウンター。 出てきたバックパックを持って進むと・・・もう外に出た。 そうか〜。シェンゲン圏内だから、チェックは何もないのか〜。 それにしても、シェンゲン圏内のイタリアから来たものの、私は外国人。それでもこうなのか〜。 と、イタリアでいつも厳しい目にあってる私には、ちょっと不思議な気がした。 さて、空港には、ギャラリーの人が、私の名前を書いた札を持って迎えに来てくれてるはず。 ・・・いない・・・。 探してる相手が出てこないお迎えの人と何度も目があうが、違う。 お互いの待ってる相手ではなさそう・・・。 むむむ・・・どうしたものか。 ギャラリーに電話してみる? でもギャラリーは、ここ(ワルシャワ)から100キロ以上も離れてるから、 電話したっているわけないし・・・。 ・・・と、待つこと15分ぐらい。 「すみません。あなたはさかなさん?*」(英語) *ここでの私の本名を「さかな」とさせていただきます^^ 「え?!そうです〜!! よかった〜!はじめまして〜!(でも誰、この人?ギャラリーの人とも違う)」 「車は外にあるから。いや〜、ごめんね。遅れてしまって。ぼくはジュリアの友人だよ」 そういうとその男性は、私のバックパックをひょいっと受け取り、さっさと外に歩いていく。 ジュリア?誰? その謎の人は、怪しい人ではなく、たしかに私を向かえに来たというのは分かる。 でも、誰?どうなってるの? 車は空港を出て、町に向かっているらしい。その謎の、でも感じのいい人は、つたない英語で、でも笑顔で しじゅう話し掛けてくれる。 車窓からは、青々とした大きな街路樹が見える。でもその緑が、イタリアに比べて、とても瑞々しい感じが する。イタリアのような乾いた感じではなく、もっと湿度のある色。 飛行機から見た、曲がりくねった河と、湿地帯を思い出す。 ここはイタリアよりも湿気のあるところなんだ。そう思うと嬉しくなる(←乾燥に弱い) 高層ビルの立ち並ぶ大きな街に入った。 「ここがワルシャワだよ。ウッジ行きの電車にはまだ時間があるから、市内をちょっと案内するよ」 ???ウッジ行きの電車? ずっと連絡をとっていたギャラリーのアダムは、「空港には名前を書いた札を持っている人が迎えに来て、 ウッジまで連れていってくれるよ」って言ってたのに。電車? 話しが見えない・・・。 「3年前までオーストラリアに住んでいたのに、今ではすっかり英語が出てこなくなってしまった。 分かりずらくてごめんね」という彼に「気にしないで。気持ち、わかるよ〜。私も今では英語が出てこなくて 困ってるの」って言いながらも、実は私は自分の英語がけっこう残ってるのにびっくりしてた。 イタリアでは、毎日(がんばって)イタリア語で話してるから、英語を聞いて理解できても、口から出てくる のはイタリア語って状態が続いてた。 どうしても英語で話さなきゃっていう時でも、脳みそにまず浮かんでくるのはイタリア語。それを脳内で 英語に変換して・・・っていうふうに、時間もかかるけど、混乱もしてるのが今までだったのだ。 だから今回の旅行でも、ちょっと覚悟していた。 ところがここに来て、思ったよりも英語がスムーズに出てくるし(といっても、私ができる範囲でです^^;)、 何よりも、英語で考える脳みそに切り替わってる! びっくりだなあ。嬉しいなあ。 これはやっと、イタリア語が日常語として、脳みそに定着してきたからかなあ。 話しが見えないながらも、ワルシャワという大都会に、わ〜、わ〜!と見入る私。 久しぶりに見る高層ビル郡。でも空が広い!道幅が広いのだ。 あ、KFC! あ、スターバックスだ〜!! イタリアにはない懐かしいお店たちに、ひとりで大興奮である。 ポーランド。私には「以前は共産圏」というイメージがあったから、こんなにも外国資本が入っているんだ なあというのに驚いた。 でもそれ以上に驚いたのは、イタリアよりも、ずっとずっと、東京に似たお店が揃っているということだ。 車から見ただけでも、イタリアにもあるのはカルフール(フランス系スーパー)、LIDL(ドイツ系スーパー) ぐらいで、先のKFCやスターバックス、ボディショップ、テスコ(イギリス系スーパー)、ロスマン (ドイツ系ドラッグストア)、GAPなど、イタリアにはない、でも私には懐かしいお店の勢ぞろいで、 もう脳内大パレード!大騒ぎである。 街角にSUBWAYを見つけた時は、私の胸の懐かしい購買意欲は最頂点。 ワルシャワって、イタリアよりものが豊富!!!きゃ〜!!! *日本にいる方には不思議かもしれないけど、物がない国イタリアにいると、こうなるのです^^ そんな脳内大興奮に反して、ポーランド語の読めない広告が目にうつる。 子音の羅列・・・。 母音語の日本語、イタリア語に慣れきった私には、子音が多いといっても英語止まり。 あの子音がいくつも並んでたま〜に母音が入る言葉は、どうやって発音したらいいかさえ分からない。 それを運転席の彼にいうと「え?読めないの?どう読んでいいか想像もつかない?」といわれる。 日本語を見ている外国の人も、こんななんだろうな〜と、その久しぶりの感覚が楽しい。 おもしろい! そんな気持ちで、ウッジ(Lodz)に続き、ポーランド語=読めないという公式が、 私の頭に刻み込まれる。 言葉が分からない、読めない国を旅行する楽しさってこういうところ! 久しぶりの読めない国に、私はますます楽しくなっていく。 しかし、何年ぶりかの購買欲と読めない楽しさの波にもまれているわけにはいかない。 ひとりで、ウッジに、電車で、行かなくてはならないのである。両替えもしてないのに。 あいにくこの日は日曜日で、駅の両替所も閉まっている。 仕方がないので、ジュリアの友人だというその彼がきっぷを買ってくれ、後日、ジュリアを通して お金を返すということになった。 謎の人として会った空港から、ワルシャワのドライブ観光の間のおしゃべりでわかったのは、 この人は、ジュリアというギャラリーのアダムのアシスタント(?)の友人で、ワルシャワに仕事で 住んでいて、たまたまこの日時間があるからと、私の空港へのピックアップを頼まれたということ。 だから私が何のためにポーランドに来たのかも知らなかった。 そんな見ず知らずの私のために、大事な日曜日の午後を潰してくれて、ありがとう。 大きな駅の地下のホームに入る。うす暗くてきれいとはいえない。ミラノの地下鉄の駅に似てる。 ふと「通勤で毎日使う駅」という、「日常」の感覚が私に戻る。 きっぷを見ると、ウッジまでは132㎞。それを準急で2時間で行くという。 電車は好きだ。ひとりでも、ここまで来れば大丈夫。 ウッジの駅では、そのジュリアという子が待っていてくれるという。 「あ、さかな、言い忘れてたけど、ウッジ ファブリ○×●(←聞き取れず。正確にはLodz Fabryczna) という駅で降りるんだよ。 ウッジ ●▽×*で降りちゃだめだよ」 「え!? でも私、ポーランド語読めないし、聞き取りもできないんだよ」 「切符を切りに来る車掌に聞けば大丈夫だよ」 「そうね。車掌さんは、英語話すんだよね」 「ううん。残念ながら、ポーランド人はほとんど英語話さないよ。じゃあ、元気でね!」 ええ〜?! (つづきます!)
by sakanatowani
| 2011-06-02 20:27
| フレスコ画 affresco
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